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恋ふらむ鳥は

/64 澤田瞳子 画 村田涼平

(けっ、頼まれたって何もしやしねえよ)

 漢(あや)は王位にも権力にも関心はない。それにもかかわらず、こんな時も自分を警戒する異父弟に舌打ちしながら、乱暴に善光(ぜんこう)の肩を突いた。

「おい、聞こえただろう。早くしろってよ」

 緩慢に仰向(あおむ)いた善光の顔は、涙と鼻水でべとべとに汚れている。ただ厄介払いされるのみならず、こんな気弱な男の世話まで焼かねばならぬのかと思うと腹立たしいが、かといって無理やり飛鳥に留(とど)まり、葛城(かつらぎ)たちから痛くもない腹を探られるのも面倒だ。

「念のため聞くが、百済(くだら)人を迎えるための物代(ものしろ)(資金)は出るんだろうな。何千人、何万人やってくるか分からねえ奴(やつ)らを食わせる蓄えは、俺にはねえぞ」

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