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舞台をゆく

解体の危機に揺れる「歴史の証言者」 旧広島陸軍被服支廠 営みも死も色濃く刻んで

 原爆に耐えて現存する被爆建物では最大の「旧広島陸軍被服支廠(ししょう)」(広島市南区)。解体か保存・活用かで揺れる巨大な赤れんがの倉庫は、原爆をテーマにした代表的な文学作品にも登場する。被爆75年の夏、まちの営みと死の記憶が刻まれた場所を訪ねた。

 爆心地の南東約2・7キロの住宅街。歴史の証言者である倉庫群がL字形に並ぶ。長辺94メートル、高さ17メートルの鉄筋コンクリート造りれんが張りの建物が4棟。1913年完成で、かつては工場と隣接し、軍服や軍靴などを製造・保管していた。45年8月6日午前8時15分、米軍が投下した原爆の爆風はここにも及び、爆心地側の鉄製扉はゆがんだまま。戦後は物流会社などが使ったが約25年前から用途が決まらず、壁の剥落などが進む。

 4棟のうち3棟は広島県、1棟は国が所有。県の許可を得て最も爆心地に近い棟に入った。広くて暗い室内。コンクリートの床に古びた格子窓から光が差し込む。ここは被爆直後から臨時救護所となり、傷ついた人々が運び込まれて息絶えた。

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