「だいじょうぶ」キャンペーン

「だいじょうぶ」キャンペーン 夏休みの注意ポイント

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小木曽健氏

 コロナ禍で学校は休校が続き、子どもたちが防犯について学ぶ時間を確保するのが例年より難しくなった。夏休みの子どもたちに、街とインターネットで気をつけてほしいポイントを、それぞれの専門家に聞いた。【川上克己】

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 ◆ネットの脅迫は無視 情報リテラシー講師・小木曽健氏

 インターネットを介して、子どもを狙う犯罪は夏休みに入ってから動き出すわけではありません。ターゲットの「物色」は6月、7月に始まっています。

 子どもの長期休みをゴールに設定し、事前にインターネットで情報を集め、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でメッセージをやりとりし、子どもを信用させていく。たとえば女の子に近づくために、同年齢の女の子を装ってSNSで相談を持ちかけるなどの手口です。

 ここでは夏休みを前に、子どもたちから相談を数多く受ける例を二つ紹介します。このケースで私はこう伝えます。「悩む必要などまったくない。相手にせず、一切無視して」

ケース1 個人情報で脅迫

 <顔写真を保存したぞ。ばらまかれたくなかったら言うことを聞け>と脅迫された。

 SNSに載せた顔写真や名前を「ばらまいてやる」「いろんなところにさらしてやる」などとSNSを通じて脅す。そして「ばらまかれたくなかったら、わいせつ画像を送れ」「会いに来い」などと要求する手口です。

 でも、考えてみてください。その写真や名前は、ネットで公開しているものですよね。そんなものを<ばらまいてやる>と脅迫されても、大人なら「はあ? いくらでも公開している情報だよ」と相手にしないでしょう。

 だから、相手は子どもを狙うわけです。知識がないので「どうしよう」と慌ててしまう。<脅しを無視した子はこんな目に遭った>などとニセの画像を送りつけられると、卑劣な要求に従ってしまうことがあるのです。

ケース2 「架空請求」

 ネットで、あるページを開いたら<ご契約ありがとうございます。5日以内に契約料をお支払いください>という表示が現れた。

 これが架空請求です。こっそり打ち明けられた「悩みごと」を聞いてみると、多くはこの詐欺なのです。

 例えば、SNSで知り合った女性に「この動画、無料で見られるよ」などとサイトに誘導され、ページを開くと「契約が成立しました」とメッセージが現れる。続いて「ご解約を希望する方はお電話を」「メールを」と求めてくる――といったケースです。

 動転して連絡しようものなら「お金がないなら値引きしてあげよう」などと交渉に引きずり込まれる。メールアドレスや電話番号が横流しされ、「詐欺メッセージ」が殺到することになります。

 どんなパターンの要求も、すべて無視してください。その意思のない契約は成立しません。詐欺です。

 ◆「危険」を読み解こう 立正大学教授・小宮信夫氏

不安感じる理由

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小宮信夫氏

 これを心がければ、犯罪に巻き込まれにくくなるというポイントがあります。自分のまわりの「景色」を観察して、危ない目に遭う可能性があるかどうかを判定するのです。

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 みなさんは道を歩いていて「この場所は何となく怖いな」とか、「不安だな」と思った経験はありませんか? そう感じるのはなぜなのか、その感覚は正しいのか、そうでないのか、きちんと整理してみましょう。

 危険な場所は、まわりから「入りやすい場所」であり、「見えにくい場所」です。

 「入りやすい場所」というのは、たとえば、入るのに邪魔な柵などがなく、出入り口の多い場所です。だれにも怪しまれずにターゲットに近づけ、しかも逃げやすい。

 「見えにくい場所」は、そこでの様子を周囲の人がつかむことが難しく、犯行が目撃されにくい場所です。高い塀が続く道や田んぼ道など、そこからたくさんの窓が見えないような場所がそうです。

 繁華街の雑踏や、混み合ったショッピングモールのように、人が多すぎる場所も、注意が分散するので「見えにくい場所」です。落書きがたくさんあったり、ゴミがちらかったままになったような場所も、地域の人が知らんぷりしているような場所なので、犯行が見逃されてしまいます。

人で判断しない

 もう一つ、重要なのは、危険か、安全かを「人で判断しない」ことです。「知っている人だから安全」ではありません。顔見知りでも「入りやすく見えにくい場所」で二人きりになったら犯罪に遭うおそれがあると、覚えておいてください。

 いまは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、マスクをつけるのが当たり前になっています。これは「危険かどうかを人で判断しない」という観点からは少し前進かもしれません。顔が判断基準にならないので、別の基準を探さざるを得ないからです。

 大人から「不審者に気をつけて」と教わることがありますが、これも「人」で判断する心理を助長してしまいがちです。黒いサングラスをかけ、マスクをつけ、帽子を深くかぶり――といった人物ばかりを怪しいと思い込み、ごく普通の姿の人物への警戒を緩くしてしまう可能性があるからです。

 犯罪のほとんどは、何らかの動機のある人物が、それを成功させられそうな「機会」に巡り合った時に起きます(これを「犯罪機会論」と呼びます)。「景色」を読み解ければ、犯罪に巻き込まれる「機会」を消すことができます。


 「だいじょうぶ」キャンペーンのホームページ(http://daijyoubu−campaign.com/) または「だいじょうぶ」キャンペーンで検索


主催

 「だいじょうぶ」キャンペーン実行委員会

 (野田健会長・元警視総監、元内閣危機管理監、原子力損害賠償・廃炉等支援機構副理事長/事務局 毎日新聞社)

共催

 全国防犯協会連合会、全日本交通安全協会

 日本消防協会、全国防災協会、日本河川協会

 日本道路協会、都市計画協会、全国警備業協会

 日本防犯設備協会、ラジオ福島、毎日新聞社

後援

 内閣府、警察庁、文部科学省

 国土交通省、消防庁、海上保安庁

 東京都、NHK

協賛

 JR東日本

 セコム

 東京海上日動

協力

 地域安全マップ協会

 プラス・アーツ

 情報セキュリティ研究所


 ■ことば

「だいじょうぶ」キャンペーン

 犯罪や事故などの「こわいもの」から子どもやお年寄りを守り、「だいじょうぶ?」と声を掛け合える社会を目指す運動。ロゴマークは「行政」「企業・団体」「市民」の三つの輪をかたどり、安心・安全の輪を大きくしていきたいという願いを込めている。2007年に始まった「だいじょうぶ」キャンペーンは、防犯・防災・交通安全をテーマに全国各地で活動している。


 ■人物略歴

小木曽健(おぎそ・けん)氏

 1973年生まれ。97年、青山学院大学経済学部卒業。IT企業でCSR部門の責任者を務めるとともに、「インターネットで絶対に失敗しない方法」をテーマに全国の学校、企業などで講演している。著書に「ネットで勝つ情報リテラシー」(筑摩書房)、「11歳からの正しく怖がるインターネット」(晶文社)など。


 ■人物略歴

小宮信夫(こみや・のぶお)氏

 1956年生まれ。94年、英ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科修了。法務省や国連を経て現職。安全な地域づくりのアドバイザーを全国で務めている。著書に「写真でわかる世界の防犯」(小学館)など。公式ホームページとYouTube公式チャンネルを「小宮信夫の犯罪学の部屋」で検索できる。

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