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石原慎太郎氏の問題発言「健康への強いこだわり、不健康に直面する恐怖」 中島岳志さん

中島岳志さん=東京都千代田区で2018年8月3日、梅村直承撮影

 「ALSは業病」と表現した元東京都知事の石原慎太郎氏(87)の問題発言。石原氏は7月31日、ツイッターで「偏見ではなく私の不明の至り」と謝罪したが、こうした発言はなぜ繰り返されるのか。「石原慎太郎 作家はなぜ政治家になったか」の著書がある中島岳志・東京工業大教授(日本政治思想)は、「(石原氏の)健康な肉体への強いこだわりと弱さが背景にある」と指摘する。どういうことか、詳しく聞いた。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】

 ――今回のツイッター発言をどう受け止め、過去の「水俣病患者はIQが低い」「障害者に人格はあるのか」などの差別発言との関連性をどう見ますか。

 ◆まさに優生思想を表した発言だと思います。そしてこの考え方は、かなり若い頃から一貫しており、過去の発言の数々と通底するものは同じだと言えるでしょう。それは健康な肉体への強いこだわりです。

 彼は大学在学中、1955年に「太陽の季節」で作家デビューします。その時、上の世代、特に戦中派に対して「あいつらの精神は不健康だ」と徹底的に批判しました。一番嫌っていたのは太宰治、織田作之助ら、いわゆるデカダンスと呼ばれる退廃的な文学でした。彼はそこに不健康なものを見る。そして「自分たちは戦中派の暗い影から太陽の季節になった、真の戦後派だ」と主張します。彼にとって、非常に重要なキーワードが「健康」だったんです。だから彼は文学の一方でヨットに乗ったり世界一周のバイクの旅に出たりしています。健康な肉体に強いこだわりがあり、かつ、それが彼の文学を支えていたのです。健康、不健康という二分法は、彼にとって大きなものでした。人間の本質は肉体的なものであるという考えが一貫して根っこの部分にあり、身体障害者など彼がみなす「不健康」に対し、非常にネガティブにとらえ、差別的なまなざしを向けてきたとみられます。

 ――政治家になったことと、「健康」へのこだわりは関係していますか。

 ◆はい。彼の大きな転機は、自分の健康が維持されなくなってきた…

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