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中島岳志・評 『相模原障害者殺傷事件』=朝日新聞取材班・著

『相模原障害者殺傷事件』

 (朝日文庫・836円)

 相模原障害者殺傷事件から4年がたった。裁判は結審し、死刑が確定している。本書は事件取材にあたった記者達による記録で、文庫オリジナルとして出版された。

 事件を起こした植松聖(さとし)は、事件の舞台となった「やまゆり園」で勤務していたが、当初は「障害者はかわいい」「今の仕事は自分にとって天職」と言っていたという。しかし、2年目に入った頃から言動に変化が見られるようになる。施設では障害者が「人間として扱われていない」と漏らし、やがて一方的な偏見を口にするようになる。しかし、裁判ではこの変化の詳細について、追及されなかった。なぜ、態度に変化が生じたのか。動機解明の重要ポイントを素通りした裁判に、記者は疑問を呈する。

 植松は切迫感に駆られる。日本の予算は逼迫(ひっぱく)しており、借金大国になっている。もう時間的にも金銭的にも猶予がない。そんな中、障害者に予算を回すことは、社会全体にとって「不幸」である。「障害者を安楽死させるべきだ」。そんな歪(ゆが)んだ思考が固着していく。

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