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広島・長崎原爆

1945年8月、広島・長崎へ原爆が投下されました。体験者が高齢化するなか、継承が課題になっています。

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国連事務次長の「約束」と「原点」 中満泉さん、コロナ禍でも被爆地へ

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国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長=米ニューヨークの国連本部で2020年2月26日、隅俊之撮影
国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長=米ニューヨークの国連本部で2020年2月26日、隅俊之撮影

 新型コロナウイルス拡大による国際移動の制限が続く中、ある「約束」を守ろうと来日した国連高官がいる。事務次長で軍縮担当上級代表の中満泉さん(56)だ。来日の目的は広島と長崎の平和式典に出席し、国連の「核廃絶」の考えを届けること。だが核軍備を巡る国際情勢は悪化する一方。彼女はどんな考えで、またどのような戦略を描いているのだろうか。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

節目の年 NPT発効から半世紀

 中満さんは国連で難民支援や平和維持活動(PKO)を担当した後、2017年に事務次長に就任。その年に広島、長崎を訪問して被爆者らと面会した。「『私が現在のポジションにある限り、毎年うかがう』と申し上げました。その約束を守りたいと思い続けています」。7月下旬、毎日新聞とのリモートによるインタビューで、今回訪日した理由の一つをそう語った。

 中満さんは7月中旬に来日し、その後は新型コロナ警戒のため「自己隔離」をした。中満さんが勤務する国連本部は米ニューヨーク市にあり、新型コロナ感染が一時激化。そのためPCR検査を何度も受け、日本到着時も空港での検査で陰性が確認された。

 グテレス国連事務総長は当初、広島の式典に出席する予定だった。同氏は核軍縮を主要課題に掲げ、18年には「軍縮アジェンダ」を発表。「人類を守り、人命を救い、未来の世代のための軍縮」が必要だと訴えている。

 しかし6月下旬、新型コロナ禍の拡大のため「事務総長の出席は現実的でない」と断念した。「事務総長は問題意識が高く、早い段階で自ら出席を発表していました。ぎりぎりまで可能性を模索したのですが……」と中満さんは明かす。

 今年は原爆投下、国連創設から75年を迎え、核軍縮の推進などを定めた核拡散防止条約(NPT)の発効からも半世紀になる。「重要な節目であり、国連が強いメッセージを発するためにも(誰かが)式典に出席すべきだという認識がありました」

 6日に行われる広島の式典では、グテレス氏のビデオメッセージが流される。中満さんは献花し、県主催の対話イベントに参加する。前日の5日には、韓国人原爆犠牲者慰霊祭にも参列する予定だ。9日の長崎では、事務総長の声明を代読する。

世界の若者「非核」の学び 日本も応援を

 被爆者の高齢化が進む中、被爆の実相に関する記憶の継承が大きな問題になっている。中満さんは「核廃絶に向け、さまざまな取り組みを同時多発的に進めることが重要」と指摘する。具体例として、ITなどを活用したバーチ…

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