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日本三大急流・球磨川 被災したラフティング業者、再起に挑む

八代海まで流されて戻ったボートを見つめる大柿さん=熊本県人吉市で2020年7月22日午前8時31分、清水晃平撮影

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 記録的豪雨で氾濫した球磨(くま)川は日本三大急流の一つとされ、ゴムボートで下るラフティングの名所でもある。流域の熊本県人吉・球磨地域に十数社あるラフティング業者の大半が被災し、休業に追い込まれている。そうした中、人吉市の「球磨川ラフティングクラブ」代表、大柿(おおかき)文也さん(56)は、多くの善意に支えられ再開に向けて歩み始めた。

 熊本県内の市町村で最多の4600棟以上が浸水した人吉市。大柿さんは、泥が残る自宅の軒先で空気が抜けたゴムボートを前につぶやいた。「全部穴が開いてしまった。修理しないと使えない」

 7月4日未明の豪雨で1階が床上浸水し、家族で近くの高台にある小学校に避難した。眼下ではこれまで何度もボートで下ってきた球磨川が濁流と化し、集落をのみ込んでいた。「ボートが流されているんじゃないか」。自宅から約1・6キロ離れた事務所とボート小屋が気掛かりだった。

 泥に阻まれていた道路が通れるようになり、2日後にようやく訪れた事務所を前に言葉を失った。屋根には流されてきた別の家屋がのしかかり、11艇のボートを保管していた小屋は流されて跡形もない。うち5艇は150万円かけて昨年新調したばかりだった。客を送迎していたマイクロバスと商用車の計4台も水没したうえ、倒れた電柱の下敷きになっていた。

濁流に破壊されたラフティング会社の事務所や車両=大柿さん提供

 大柿さんは東京での10年間のサラリーマン生活にピリオドを打ち、1999年に故郷・人吉市へ。幼い頃から遊び場だった球磨川でラフティングがブームと聞き、会社を起こした。1年目は50人ほどだった客は順調に増え、昨年も県内外から2000人以上がラフティングに訪れた。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で6月下旬に数組の利用があっただけ。シーズン本番での巻き返しを目指そうとしていた矢先の災禍だった。

 兼業であるキクラゲ栽培のビニールハウスまで失い、途方にくれる大柿さんに被災から約1週間後、球磨川ラフティング協会から思わぬ朗報が入った。40キロ以上離れた八代(やつしろ)海まで流されたボート5艇を漁師らが見つけて保管しており、船体番号の連絡があったというのだ。ボートは損傷していたものの、大柿さんの元に戻った。

 さらに事務所の片付けに、常連客や元従業員が県内外から駆けつけてくれた。失意のどん底にあった大柿さんだが、「たくさんの助けを受けて『続けなくちゃ』と思うようになった」。

 川底には流失した橋など多くのがれきが残っているとみられ、安全にラフティングが再開できるまでには長い時間がかかると予想される。それでも大柿さんは、故郷での再起を目指して前を向く。「店がこれほど愛されているんだと被災して初めて気付いた。失ったものも多いが、得られたものはもっと多い」【清水晃平】

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