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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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戦後75年の歩みを考えると…

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 戦後75年の歩みを考えると、四半世紀ごとに時代の節目といえる出来事があった。1970年は大阪万博。95年には阪神大震災にオウム真理教の地下鉄テロ。今年は東京五輪のはずだったが、コロナ禍に取って代わられた▲50年前のきょう、東京で初めて実施されたのが歩行者天国だ。交通戦争が叫ばれた時代。交通事故死者数はこの年、1万6000人を超えてピークに達した。自動車より人が主役という試みで、80万人以上が銀座など5カ所の大通りをうずめた▲翌日の本紙は「日本版アース・デー(地球の日)」と表現している。地球環境を考えるアース・デーは70年4月に米国で初めて開催された。日本でも公害が深刻化していた。光化学スモッグが初めて報告されたのもこの年だ。自動車の締め出しには排ガス規制の意味もあった▲その後、全国に広がり、原宿の「竹の子族」など「ホコ天」文化も生まれた。周辺の渋滞などを理由に原宿での実施が中止された98年以降は減少傾向が続いていたが、近年、地域活性化につなげようと再び、関心が高まっている▲外国人観光客をにらみ、歩行者天国でオープンカフェや大道芸のパフォーマンスを実施する地域も増えた。インバウンド需要は当面ストップ状態だが、コロナ禍で散歩が習慣となった人も多い。歩行者に優しい空間の必要性はさらに高まりそうだ▲欧米でも外を歩き、自転車に乗る楽しさが見直されているという。節目の年を人間中心、環境重視の新しい生活につなげたい。

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