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「何も反論できない」韓国軍のずさんさ露呈 脱北者帰還見逃す 北朝鮮は宣伝に利用

江華島にある排水路。韓国軍は脱北者の男性がここを通って漢江に出たとみている=韓国北西部の同島で29日、共同

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 新型コロナウイルスに感染した疑いがある脱北者の男性が北朝鮮に戻ったとされる事件をきっかけに、韓国軍のずさんな警備態勢が問題になっている。韓国軍合同参謀本部は7月31日に調査結果を公表し、関係者を処分する方針を示すなど対応に追われている。

 「何も反論できない。すべての部分において無限の責任を負う」。鄭景斗(チョンギョンドゥ)国防相は28日、男性の北朝鮮への脱出を許したことを国会で謝罪した。

 北朝鮮南西部の開城(ケソン)市に戻ったこの脱北者は、韓国・京畿道(キョンギド)金浦(キンポ)市の20代男性。北朝鮮が26日、国営メディアを通じて「新型ウイルスに感染したと疑われる脱北者が19日に帰郷した」と発表して、初めて韓国軍は事態を把握した。韓国軍合同参謀本部が調査した結果、監視網の不備が次々と明らかになった。

 調査結果によると、男性は18日午前2時20分ごろ、江華島(カンファド)でタクシーから下車した。江華島は韓国へと向かう脱北者が泳いで渡ることで知られる漢江の河口にある。男性が到着した際、約200メートル離れた検問所の勤務者はタクシーがいたことは把握していたが、確認しなかった。男性はその後、近くの鉄条網の下にある排水路を通って漢江に出た。排水路には人が通り抜けられないように、鉄製の障害物などが設置されていたが、老朽化しており、男性はすり抜けたとみられている。

 男性は18日午前2時45分ごろから漢江を泳いで渡り、午前4時ごろに約5キロ離れた北朝鮮側に上陸。その後移動する様子も含め、軍の監視カメラや赤外線監視システムに計7回、断続的に映っていた。同本部は、映像などを複数回確認してようやく見つけられる程度で、当時は男性を発見するのは難しかったと説明し、水門や排水路の一斉点検などの再発防止策を発表した。また、この地域を担当する海兵隊第2師団長を解任し、関係者を懲戒委員会にかける方針を明らかにしたが、韓国メディアは「後の祭りだ」などと批判している。

 北朝鮮はこの事件を利用し、新型ウイルス対策の強化を内外にアピールする。30日に崔竜海(チェリョンヘ)最高人民会議常任委員長が、脱北者が戻ったことで完全封鎖された開城市を視察。朝鮮中央放送は31日、平壌市が40カ所超の防疫所を新たに設置、同市への出入りを制限していると報じた。30日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は「我が国にはまだ1人の新型ウイルス感染者も出ていない」と主張しつつ「少しの油断と傍観、慢性化した生活態度を持てば、想像も挽回もできない致命的な危機を招き得る」と注意喚起を強めた。今後の展開次第では脱北者や韓国政府に新型ウイルス問題の責任を転嫁する可能性もある。韓国政府は「男性が感染している可能性は相当低い」としている。【ソウル渋江千春】

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