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雨漏りで「最後の御前会議」展示できず 鈴木貫太郎記念館に台風19号の爪痕

鈴木貫太郎記念館。塔には終戦の詔書(玉音放送)から引用した自筆の「為万世開太平」の文字が刻まれている=千葉県野田市で7月22日正午、橋本利昭撮影

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 終戦時に首相を務めた鈴木貫太郎が晩年を過ごした千葉県野田市(当時は関宿町)の「鈴木貫太郎記念館」は、2019年10月の台風19号で被害を受けた後、終戦が決まった会議の様子を描いた絵画「最後の御前会議」や、鈴木の日記などの収蔵品約500点が展示できない状態になっている。収蔵品に被害はなかったが、建物が雨漏りしたため、市内の別施設で保管しており、見学することができない。【橋本利昭】

 鈴木貫太郎は1868(慶応3)年、関宿藩の領地があった堺市で生まれ、関宿に移り幼少期を過ごした。首相を退いた後、再び関宿で暮らし、1948年に亡くなった。記念館は吉田茂元首相が発起人となった「鈴木貫太郎記念会」が、63年に旧宅の隣に開館させ、現在は野田市に移管されている。

歴史的瞬間を描いた白川一郎の「最後の御前会議」(鈴木貫太郎記念館提供)

 収蔵品は、本人の日記や手紙、書に加えて軍服などがある。他に事跡を描いた絵画は6点あり、首相時代の45年8月14日、皇居内の地下防空壕で昭和天皇が出席し、終戦が決まった「御前会議」の模様を画家の白川一郎が描いた「最後の御前会議」は、同館を代表する作品として知られる。歴史的な場面の写真は残されておらず、白川は戦後、関係者への聞き取りを重ね、席順や服装、持ち物などを詳細に再現した。白川は69年、月刊誌で「参列者一同が陛下のお言葉の重みに耐えかねている深い時の流れを描こうと思った」と説明している。

 昨秋の台風19号の影響で老朽化していた同館は雨漏りし、カーペットが水浸しになった。収蔵品は空調設備が整っていて保管に適した埋蔵文化財整理室に緊急避難した。

 市は雨漏りする場所を補修し、耐震補強を行って展示を再開することを検討したが、難題がいくつも噴出している。

 耐震調査では、建物のコンクリート強度が予想外に低いことが判明した。また、同館は市のハザードマップで川が氾濫すると水没してしまう場所にあるため、現地で展示を続けることには問題もある。さらに、建物について専門家から「昭和30年代のモダニズム建築のお手本となるデザイン」という見解も示されている。

 市は今後、耐震や洪水に関する安全性や歴史的価値の検証のほか、地元住民の意向を聞いて計画を見直さなければならない事態となっており、収蔵品は当面、同館に戻すことができない。既存施設での展示も検討されたが、担当者は「代替施設では大きな絵の展示は難しい」と話す。また、「『最後の御前会議』は、戦争の歴史的場面を描いた他に代えられないもので、現状は『死蔵』と言われても仕方ない。鑑賞できる何か良い方法を考えていきたい」としている。

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