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アニマルクライシス

レッドリストでランク引き下げの動き タンチョウは本当に絶滅危機を脱した?

鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリに飛来したタンチョウ=北海道鶴居村で2017年2月14日午前10時33分、手塚耕一郎撮影

 北海道東部などに生息する国の特別天然記念物のタンチョウが、絶滅危惧の評価を巡って揺れている。個体数が減っていないとして、国際的な野生生物レッドリストでランクを引き下げる動きもあるが、本当に大丈夫な段階なのか。【本間浩昭】

 札幌市中心部から約30キロの距離にある長沼町の舞鶴遊水地。ここで5月24日、タンチョウのヒナ2羽が生まれたことが確認された。

 乱獲や水田開発などの影響で、1世紀以上も確認されていなかった札幌圏での繁殖。2015年に町が地元農業者を中心に専門家をアドバイザーに加えた共生検討会議を発足させ、生息環境を整えてきた成果だった。「舞鶴遊水地にタンチョウを呼び戻す会」の加藤幸一(よしかず)会長(67)は「最初の目標は呼び戻すことだった。まさか越冬してヒナまでかえしてくれるとは」とかみしめる。

 舞鶴での再定着は、研究者にとっても重要だった。個体数が1800羽前後まで回復したタンチョウは、越冬地での過密が深刻化しており、道東から北海道全域への分散の第一歩と期待されるからだ。

 タンチョウは国際自然保護連合(IUCN)の野生生物レッドリストのカテゴリーで、絶滅危惧種のリスク分類で上から2番目の「絶滅危惧ⅠB類(危機)」に位置付けられている。だが鳥類の評価を担当する国際環境NGO「バードライフ・インターナショナル」(本部・英国)は6月、「継続的な個体数の減少が認められない」などとして分類を「絶滅危惧Ⅱ類(危急)」に1ランク下げる暫定案を公表。結果的に、7月に判断は保留となったが、国内関係者は危機感を抱く。

 というのも、タンチョウはまだ引き下げに耐えうる保全状況ではないからだ。厳冬期の個体数調査などを40年近く続ける認定NPO法人「タンチョウ保護研究グループ」の百瀬邦和理事長(68)は、レッドリスト見直しは主に文献などを基にした個体数の増加を根拠にしていると指摘。「人間の与える餌によって個体群が維持されているのが実態で、いわば『見かけだけの野生』。自然状態で安定しているとは言い難い」と訴える。

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