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「1カ月はあっという間だった」。熊本県芦北町箙瀬(えびらせ)地区の自宅で亡くなった山本レイ子さん(当時78歳)の夫守さん(75)は、初めての月命日となった4日午前8時半、愛妻の遺骨が納められ、自らの避難先でもある町内の寺で仏前に手を合わせた。
山本さん夫婦は5月に長男功さん(当時48歳)を亡くし、7月3日に四十九日法要を済ませたばかりだった。その日は大雨の予想が外れ「功が守ってくれたんかね」と胸をなでおろすレイ子さんの表情を覚えている。しかし、深夜から降り続いた雨で翌朝には球磨川の水位が急激に増し、自宅前まで迫った。
避難のさなか、レイ子さんはふいに自宅へきびすを返した。濁流にのまれそうになった守さんは間一髪で自宅の屋根に逃れた。だがレイ子さんが再び戻ってくることはなく、水が引いた7月4日の午後、自宅で見つかった遺体は何かを抱えるような姿だった。「功の位牌(いはい)やお骨を持とうとしていたんじゃないか」。そう信じる守さんは8日後、自宅の泥の中から功さんの遺骨を見つけ出した。
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