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<丘のうなじがまるで光つたやうではないか/灌木(かんぼく)の葉がいつせいにひるがへつたにすぎないのに//こひびとよ きみの眼はかたつてゐた/あめつちのはじめ 非有(ひゆう)だけがあつた日のふかいへこみを>
大岡信の詩集『春 少女に』(1978年)の巻頭に収められた詩「丘のうなじ」冒頭2連である。詩集には「深瀬サキに」と献辞がある。妻、かね子さんの劇作家としての筆名だ。
全22編の詩集は1連2行の形式の作品を多く含み、またかなりの詩編が過去の回想を交えた恋愛詩と呼んでいいものだ。詩壇でも高く評価され、翌79年に無限賞を受賞する。詩人の代表詩集とも目されている。
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