
収束の気配が一向に見えない新型コロナウイルスの感染拡大。先行きが見通せないなか、文化や芸術にかかわる人たちはどう向き合い、そして何を考えるのか。また、コロナ禍が作品や表現にどのような影響を与え、今後いかなる変化をもたらすのか。文学や演劇、美術の各界で活躍する3人が読み解く。
「そのあと」にも忘れぬために 高橋源一郎・作家
「新型コロナウイルス」の流行の後で、どんな小説が、もしくは文学が書かれるのか。あるいは、書かれるべきなのか。予言者ではないので、もちろん、わたしにはわからないし、「書かれるべき作品」などというものがあるのかもわからない。ただ、多くの作家たちが、「いま、そのとき」にか「そのあと」で、自分がどんな作品を書くのか、深く考えていることだけは間ちがいないように思う。
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