九州豪雨1カ月 千寿園遺族、整理つかず 母に届け、この無念
毎日新聞
2020/8/5 西部朝刊
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76人が犠牲となった九州豪雨の発生から4日で1カ月がたった。深い愛で包んでくれた母、背中で仕事を教えてくれた父、優しかった夫――。大切な人を濁流や土砂に奪われた遺族らの悲しみは、時間がたっても癒えることはない。あの日から一転して青空となった熊本県南部の被災地では、犠牲者を悼む静かな祈りが広がり、復興を誓って懸命に前を向く遺族もいた。
「こんな形で母と断ち切られるなんて」。九州豪雨で亡くなった日当(ひあて)タツエさん(当時82歳)の次女、境目美奈子さん(54)=兵庫県明石市=は唇をかんだ。タツエさんは、入所先の熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」で犠牲となった。あの日から1カ月。母との突然の別れをまだ受け止められないでいる。
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