「女・男の気持ち」(2020年7月30日~8月5日、東京・大阪・西部3本社版計21本)から選んだ「今週の気持ち」は、東京本社版8月1日掲載の投稿です。
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<今週の気持ち>
マスク警察 横浜市青葉区・佐藤幸子さん(主婦・56歳)
マスクをしていない人を一方的に非難する「マスク警察」が話題になっている。
私がテレビで見たのは、電車内でマスクを忘れた女性がハンカチで口元を押さえていたところ、男性が「こういう人がいるから感染が広がるんだ」と、その女性に強い口調で言い、女性は泣きそうになっていたという話だ。
もし、その場に私が居合わせたら、某テレビ番組のようにスカッとした一言で助けてあげられないだろうかと妄想する。
なじっている男性の言葉を受けて「『……なーんて、からんでくる人がいるといけないから、このマスクを使いなさい』って出すところですよね。ご親切ですね。あら、今日はたまたまお持ちでない? では、こちらをお使いください」と、私の持っている新品のマスクを男性に押し付けるのだ。
本当にそういう場面に出くわしたら、たぶんできないとは思うけれど。家族からは「そんなテレビみたいにうまくいくわけがない」「逆ギレされるだけだからやめて」と言われた。
こういうマスク着用を大義名分にして他人に高圧的な態度をとる人は、きっと戦時中なら「近所中の非国民を私が正してやる」と頑張ったんだろう、と想像する。こんなときだからこそ、人を一方的に非難するのではなく、相手の事情を想像する、寄り添う気持ちが大切だと思った。
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<担当記者より>
全国で1日3本掲載される「女・男の気持ち」は、日々ツイッター(@kimochimainichi)でも情報発信しています。5日までの1週間で一番反響が大きかったのが、この佐藤さんの投稿でした。
コメントで多かったのは「この女性はハンカチで口元を押さえているならいいのでは?」という声。ハンカチ、フェースシールド、扇子やうちわ……道具はなんでもいいから、自分の飛沫(ひまつ)を浮遊させないような対策を講じる。「とにかく口鼻を覆えばOK!」と理解を示す人が多いようです。
泣きそうになっている女性に直接マスクを渡すのでは、なじっている男性に加勢することになる気がする。強い口調の男性に「本当は親切で言っているんでしょう? マスクをプレゼントしてあげたらいいのに。あれ、持ってないの?」と皮肉の一つも言ってやりたい。そんな佐藤さんの妄想は、読むだけで「スカッと」しました。
マスクをしていない人は、なにか理由があるのかも……相手の事情を想像し、気持ちに寄り添う。佐藤さんが書かれていたようなほんの少しの気遣いを、コロナ禍ではより大切にしたいものです。
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