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「音韻の美」備えた独自の散文 古井由吉さんの本、相次ぎ刊行

 <文化の森 Bunka no mori>

 2月に作家の古井由吉さんが82歳で死去して間もなく半年。この間、2004年の長編小説『野川』(講談社文芸文庫)が復刊し、インタビューや作家・評論家らによる論考を集めた大部の本『古井由吉 文学の奇蹟(きせき)』(河出書房新社)も刊行された。

 『野川』は後期の古井文学の代表作だ。後期の起点をどこに置くかに定説はないが、長編『仮往生伝試文』(1989年)を一つの頂点とし、それ以後で区切る見方もある。実際、『古井由吉 文学の奇蹟』には現役作家12人の選んだベスト3が載っていて、『槿(あさがお)』(83年)と並び最も多い5人が『野川』を挙げた。

 作者と等身大の人物を軸に、エッセーと区別しがたいスタイルで書かれた後期作品群の中で、『野川』は比較的はっきりした物語の流れを持つ。一つは、語り手の友人の体験として描かれる45年3月10日の東京大空襲だ。それが戦後の高度成長からバブル経済に至る「もう一つの戦争」と重ね合わされていた。

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