特集

センバツ高校野球

第93回選抜高校野球大会の特集サイトです。3月19日から31日まで阪神甲子園球場での熱戦を全試合ライブ中継します。

特集一覧

甲子園交流試合・2020センバツ32校

必勝 コロナ・熱中症/忠実 「基本プレー」

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
いずれも各都道府県高校野球連盟が開催する独自大会
いずれも各都道府県高校野球連盟が開催する独自大会

 10日に開幕する2020年甲子園高校野球交流試合(日本高校野球連盟主催、毎日新聞社、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)は、新型コロナウイルスの感染予防対策に加え、炎天下のグラウンドでプレーが行われるため、熱中症にも配慮した試合運営が求められる。例えば感染予防には必須のマスクだが、スポーツ時は呼吸がしづらく熱の放散も妨げられるため、熱中症のリスクが高まるので最大限の注意が必要だ。【藤田健志】

「手で顔」×■集まる時はグラブを口に

 交流試合実行委員会のメンバーで、大阪大大学院医学系研究科健康スポーツ科学講座スポーツ医学教室の中田研教授(59)は「試合運営での新型コロナウイルス感染予防対策のガイドラインなど指針はたくさんあるが、原理原則を理解することが大切だ」と説明する。

 飛沫(ひまつ)感染予防は3密(密閉、密集、密接)を避けることに加え、マスク着用が重要になってくる。しかし、甲子園でのプレー中や食事、入浴の際など、マスクを外す行為は多岐にわたる。そのため「グラウンド内であれば、集まる時は互いにグラブを口に当てて話す」ことや「面と向かわずに下を向いて話すことでもリスクの軽減につながる」と指摘する。

 国立感染症研究所によると、マスクなどの必要な感染予防用具もなく、1メートル以内の距離で15分以上接触をすることが濃厚接触者の定義だ。マスクをしない場面が出てくる以上、濃厚接触者にならないために、中田教授は「お互いが、まずはどのような行動を取ればいいのか考えることが重要だ」と強調する。

 一方で接触感染を防ぐためには、スポーツ中は手で顔を触らないなどがポイントになってくる。コロナウイルスは皮膚から侵入するわけではなく、粘膜から感染すると考えられており、試合中でもバットやボールなどの共有物を手で触っただけで感染することはない。しかし、ウイルスが付着した物に触れた手で目、鼻、口を触ると感染リスクは一気に高まる。必要以上に共用部分に触らないことに加え、消毒の徹底をすることが必要不可欠になる。中田教授は「感染経路を理解して、自分たちでルールを作って実践できれば、感染リスクは下げられる」と語る。

 ただ、全国から出場校が集まる交流試合の場合、球場内だけではなく、宿舎での対策も欠かせない。今回の交流試合では近畿圏内の近隣校については日帰りで試合に臨み、宿泊を伴う高校も最大2泊を原則としている。

 甲子園に近く、国士舘(東京)が宿泊する「甲子園ホテル夕立荘」(兵庫県西宮市)でも従来とは違った対策を施している。2階の和室の方が大人数を受け入れるのに使いやすいため、通常ならチームに2、3階を割り当て、少なくても2人部屋としてきた。しかし、宿舎に対する日本高野連の説明会で極力、大浴場の利用を避けることや選手の個室利用などを要望された。そのため、今回はシングルルームが中心となる3、4階を利用してもらうことに変更したという。夕立荘を経営する島田昭一さん(78)は「従来とは違う気の使い方にもなるだろうが、選手たちが甲子園でプレーできるので精いっぱいサポートしたい」と話す。

手のひら、額冷却■冷水コップ手渡し×

 熱中症対策について、主に球児たちをサポートしているのは理学療法士たちだ。交流試合実行委員会のメンバーで、理学療法士で組織する「アスリートケア」代表を務める大阪電気通信大の小柳磨毅教授(58)は「今回はベンチの中で3密を避けるための間隔が十分取れないと感じれば、ベンチ裏などでゆっくりクールダウンを行うことも重要だ」と、新型コロナウイルス感染防止も踏まえた熱中症対策を語る。

 2018年夏の第100回全国高校選手権大会では、選手の熱中症の症状は計77件、報告された。注意すべきは、地方大会で熱中症にかかったことのある選手は、再び発症する率が高いことだ。さらにコロナ禍の今回は練習の自粛期間が長引き、選手の体力低下が懸念される。

 甲子園大会では、試合前に選手の健康状態の聞き取り調査を実施し、ベンチには冷風機なども準備されている。昨夏からは、15度前後に冷やした水が入ったペットボトルを用意し、試合中に手のひらや額などを冷やす「手のひら冷却」を導入した。深部体温の上昇を抑制する効果があるという。今回は救急搬送を要する熱中症の選手が出た場合に備えて、一、三塁側に冷水の浴槽を用意。摂取することで体の内部から冷やすシャーベット状の氷飲料「アイススラリー」も準備する。

 新型コロナウイルス感染に配慮した予防対策も取り入れる。通常は水分補給のため、各選手には背番号が書かれたコップを配布し、試合中は控え選手がコップを手渡しすることで飲み忘れなどを防いでいた。今回は感染症対策としてコップではなく、飛沫感染を予防するためにペットボトルを用意する。小柳教授は「飲み忘れやクールダウンの場所なども選手同士で相互チェックできるようにすることが大切になる」と語った。


新型コロナウイルスと熱中症予防の主な対策

・試合ごとにベンチ、手すりなど不特定多数が接触する場所は定期消毒する

・円陣を組む際には密集にならないように配慮。集合時はグラブを口に当てる

・試合中は素手でのハイタッチや握手を控え、ボールを触った手で目・鼻・口を触らない

・熱中症予防の水分補給は個別のペットボトルを使用

・マスク着用は場所のメリハリをつける

・球場内で控え部員や保護者は間隔を取って観戦し、大声を出さずに拍手での応援が基本

・食事は距離を空けて取る。個別配膳が望ましい

【センバツ高校野球】

時系列で見る

関連する特集・連載など

あわせて読みたい