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論点

戦後75年 戦争と科学

 科学や技術には、人の生活を豊かにする民生利用と、兵器などにつながる軍事利用の両面性がある。その境界は、時代の最前線を行く研究分野でますます見えにくくなっている。先の大戦では、日本の科学者は軍事と深く関わり、戦後その反省を踏まえて再出発したはずだった。だが、戦後75年を経て学術の側の忌避感は薄れつつある。

 東京大で人工知能(AI)の研究をしていた2000年代に、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)から日本の代理人を通じて、研究費を出すから研究をしてみないかという話が来た。テーマ設定や成果の発表は自由だったが、東大は軍事関係機関の研究資金の利用を禁止していたため、申し出を断った。DARPAは世界で広く研究資金をばらまき、軍事利用の種になりそうな研究を探している。AIの研究でも、多くの軍事関連の資金がつぎこまれてきた歴史がある。

 典型的な例は、コンピューターを用いて言語を翻訳する「機械翻訳」だ。世界でAIの研究は1958年に始まったが、60年代に入ると早速、米軍の多額の予算が機械翻訳の研究に投じられた。当時は米ソ冷戦の時代で、米軍はソ連への諜報(ちょうほう)活動のため、ロシア語の文書を素早く大量に読む必要があった。結果的には実現性が低いと分かり、60年代半ばには予算が削減された。最近のスマートフォンなどの機能で、声による…

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