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余録

19世紀初めのスペイン王…

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 19世紀初めのスペイン王、カルロス4世がその歴史的壮図を思い立ったのは幼い王女を天然痘で失ったからだった。発明されたばかりの種痘を米大陸とアジアの植民地の人々に無償で施す使節団を派遣したのだ▲団長のフランシスコ・ザビエル・バルミスは宣教師ならぬ医師。一行は南米、メキシコで種痘を広げた後に太平洋を渡ってフィリピンに赴き、中国のマカオや広東でも種痘を行った。インド洋経由で帰国したのは3年後だったという▲まさしく地球を一周して種痘を世界に広めた人類史的ミッションだった。一行に連れられ、その身をもって痘(とう)苗(びょう)を運んだ22人の孤児は陰の功労者だが、以後の消息は伝わっていない(小長谷正明(こながや・まさあき)著「世界史を変えたパンデミック」)▲新型コロナのワクチン開発競争が熱を帯びる中、プーチン露大統領が世界初のワクチンの完成と承認を発表する驚きの展開である。だが話を聞けば、米欧中で進む最終段階の治験はまだこれからで、詳細なデータも公表されていない▲大統領は自分の娘への接種を披露して安全性を強調したが、それだけで実用化するのか。その関心は主に政治的効能にあるようで、コロナ禍拡大による政権批判を抑え、アジアや中東への影響力を支えるワクチンを求めているようだ▲フィリピンのドゥテルテ大統領はすでに露のワクチンへの信頼を表明しているから、プーチン氏もカルロス4世の気分か。ちなみに当のスペイン王は使節帰国後にナポレオンの侵攻で王位を追われたとか。

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