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黒人女性、副大統領候補 多様性の回復めざす選択

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 米大統領選の民主党予定候補であるバイデン前副大統領は、黒人女性のカマラ・ハリス上院議員を副大統領候補に選んだ。

 主要政党での黒人女性の副大統領候補は230年余りの米国史で初めてだ。新型コロナウイルスや黒人差別問題をめぐって分断が深まるなか、融和や変革のメッセージとする狙いがあるのだろう。

 検事出身のハリス氏はトランプ大統領を弁舌鋭く批判して、上院1期目ながら頭角を現した。トランプ政権への対決姿勢を強く印象付けることにもなる。

 大統領候補の座を一時は争った。55歳のハリス氏の果敢な姿勢には77歳のバイデン氏が「恐れ知らずの闘士」と舌を巻くほどだ。

 女性起用はバイデン氏の公約だった。白人、黒人、アジア系など大勢が選考対象になったという。

 ハリス氏を選んだのは、多様性を重視したからだろう。ジャマイカ系の父、インド系の母を持つ。中南米系やアジア系の支持拡大につながるとの目算もあろう。

 今回の起用は米国史においてとりわけ重い意味を持つ。

 南北戦争の結果、奴隷制は廃止され、黒人に参政権が認められた。しかし、女性に参政権が与えられたのはその50年後だ。

 女性の政治参加や権利拡大に抵抗する保守的な風潮や差別的な考え方が根強く、憲法修正案がたびたび退けられたからだ。

 米政界での男性優位はいまも変わっていない。連邦議員のうち女性は2割強にとどまる。黒人女性の上院議員はハリス氏を含めて2人しか誕生していない。

 主要政党の女性大統領候補は民主党のクリントン元国務長官だけだ。過去の副大統領女性候補2人はともに白人だった。黒人女性となれば抵抗はより大きいだろう。

 トランプ氏は排他主義や人種差別を助長し、米国の原動力である多様性を損ねてきた。それを回復できるかが問われている。

 新型コロナと医療、経済対策や移民問題、対中国政策と同盟関係など、直面する課題も山積している。一刻の猶予もない。

 バイデン氏が勝っても高齢を理由に1期で退けば、ハリス氏が最有力の次期大統領候補となる。その資質があるのかにも、有権者の厳しい目が注がれるだろう。

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