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米国に亀裂広げる「カルチャーウォー」とは 失われた共通の価値観

奴隷制と結びつく歴史上の人物の銅像・碑の破壊に対し、断固として対応していくと表明したトランプ大統領=中西部サウスダコタ州で2020年7月3日、AP

 米国では5月に起きた白人警官による黒人暴行死事件をきっかけに、人種差別や警察の暴力に抗議し、社会の変革を求める運動が続く。一方でトランプ大統領は支持基盤の保守層への配慮から、変革運動で撤去が求められている南北戦争の南軍の将軍像などを守る姿勢を強調し、11月の大統領選で再選を狙う。社会制度や歴史認識を巡る対立は「カルチャーウォー」(文化戦争)と呼ばれ、米社会の亀裂が広がっている。

 ニューヨーク市中心部マンハッタンのセントラルパーク前にある自然史博物館。入り口には第26代大統領セオドア・ルーズベルトの銅像が建つ。像はルーズベルトが馬に乗り、その両脇に先住民と黒人が付き従っている。博物館は「ブラック・ライブズ・マター」(BLM、黒人の命は大事だ)運動が広がっていた6月21日、この像を撤去するよう所有者の市に求めると発表した。

 1940年に建てられた像は、以前から人種差別との議論があり、台座に「人種間に階層があることの象徴との見方もある」と注釈がつけられ存続してきた。博物館は「撤去は進歩の象徴だ」と説明。デブラシオ市長も「今の時代には受け入れられない」と撤去を認める考えを示した。米国内では南北戦争の南軍司令官、リー将軍など人種差別を象徴する人物の像や碑を撤去する動きが強まり、博物館に決断を迫った形だ。

 6月28日には像の前で、トランプ大統領を支持し、撤去に反対する約150人のグループと、撤去を求めるグループがにらみ合う場面もあった。トランプ氏は各地で広がる撤去の動きに強く反発。「歴史の否定だ」として保守とリベラルが対決する「文化戦争」を仕掛け、分断を深めようとしている。だが、ニューヨーク市内でBLM運動に参加する白人の会社員、クラリス・ディーンさん(27)は言う。

 「実は人種差別がはびこっているのに、見て見ぬふりをしてきたのが米国社会の現実だ。差別的な像を放置してきたのはまさにその象徴で、私たちはこれ以上同じ場所にとどまるべきではない。歴史の否定? それなら、トランプは自由や平等という米国の歴史的な価値観を否定している」

 中西部ミネソタ州で5月下旬、白人警官が黒人男性のジョージ・フロイドさんの首を押さえ死亡させた事件は、人種差別の根深さを知らしめた。暴行死で火が付いたBLM運動は、2カ月半が過ぎた今も各地で続く。ツイッターやインスタグラムなどのソーシャルメディア上には連日、デモ行進や集会を呼びかける情報が飛び交う。運動は人種差別への抗議にとどまらず、住宅や教育など幅広い分野に根強くある差別を撤廃するよう具体的な政策転換を求める動きに広がっている。

 8月10日夕。マンハッタンのカール・シュルツ公園に約70人の若者らが集まった。集会で演説した市民団体の共同代表で黒人の、サンドレア・コールマンさん(53)は低所得者向けの住宅の拡充や住環境の改善などを訴えてきた。「トランプは黒人の命より…

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