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「木材」の次は「巨大な隕石」? 隈研吾氏が手がけた「角川武蔵野ミュージアム」を見てきた

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巨大な角川武蔵野ミュージアム=2020年7月30日午後6時45分、広瀬登撮影
巨大な角川武蔵野ミュージアム=2020年7月30日午後6時45分、広瀬登撮影

 埼玉県の南西部、所沢市に巨大なミュージアムが8月1日、プレオープンした。その名は「角川武蔵野ミュージアム」。出版大手KADOKAWAと同市が共同事業を進めるクールジャパンの拠点「ところざわサクラタウン」の目玉。図書、美術、博物の3領域を統合させた野心的ミュージアムだ。開館直前の7月下旬、現地を訪れた。

 東京都心から電車で1時間弱。JR武蔵野線東所沢駅で下車する。駅前にドラッグストアやコンビニ、ファストフード店が並ぶ典型的な郊外の駅。どこにでもありそうな街並みを横目に徒歩10分。突然、巨大な岩石のような建築物が視界に入ってくる。住宅街のど真ん中に落ちた隕石(いんせき)と例えてもいい。角川武蔵野ミュージアムはSF的な姿で来訪者を迎えていた。

 高さ約40メートル。外観では分かりにくいが、5階建てだ。外壁を覆うのは花こう岩。「ブラックファンタジー」と呼ばれる全体が黒色で、白い筋模様が入るタイプを選んだという。それらは中国・山東省の山中から切り出され、アモイで加工。2000キロの波路を越え、日本まで運ばれてきた。総量6000平方メートル、重さ1200トン。取り付けられた石の板材2万枚。とほうもない数だ。

 デザインしたのは隈研吾氏。隈氏といえば、新しい国立競技場の生みの親。木材を使った競技場と同じ建築家が、岩の塊からなるミュージアムを手がけたとは、にわかに信じがたい。驚く人々を啓蒙(けいもう)するかのように、隈氏は建物の案内冊子に一文を寄せている。

 寄稿によると、世界中の聖地と呼ばれる場所は、そのほとんどが石と関係し、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三つの宗教の聖地であるエルサレムも、石の神殿や石の壁で知られる。「石の近くにいると、なぜか人間の心は落ち着き、神の存在を感じることができる」と隈氏。日本の神社や寺院は木造建築が多いが、神社を建築として建てる以前の古代では「岩そのものが信…

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