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拝啓 戦争の時代から

 戦争を経験した当事者の高齢化が進み、戦争の記憶をたどるのが難しくなっている。民間の有志でつくり、17万通以上の軍事郵便を収集・保管している「軍事郵便保存会」から借りた手紙を戦後75年の今を生きる人たちに届け、ともに戦争を考えたい。

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拝啓 戦争の時代から

<4>優しい「きんちゃん」に送った日々のささやかな暮らし 今も消息分からず

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南洋に出征した山縣欣治さんに宛てて77年前に書いたハガキを読み、当時を振り返る中村和江さん=中村ちえさん提供
南洋に出征した山縣欣治さんに宛てて77年前に書いたハガキを読み、当時を振り返る中村和江さん=中村ちえさん提供

 仲良しのお兄さんに宛てた手紙に13歳の少女は日々の小さな暮らしをつづった。「内地は朝夕涼しくなり毎夜庭のすみでこほろぎ(コオロギ)が鳴きます」。丁寧に書かれた文字には鉛筆の下書きが残る。遠い南洋の地で受け取った男性はほっと一息つけただろうか。

 このハガキは甲府市から出征した山縣(やまがた)欣治さんに宛てて書かれた。接収されたことを示すスタンプがあり、山縣さんが受け取った後、米軍の手に渡ったとみられる。現在は入手した軍事郵便保存会(兵庫県明石市)が保管している。

 手紙を手に取材を進めると差出人が見つかった。中村和江さん(90)。77年前の1943年にハガキを書いた少女だ。今は山梨県内の施設で暮らしている。

 新型コロナウイルスの感染を防ぐため5カ月ぶりとなった面会で、長女のちえさん(52)が手渡すと「よくこんなハガキが残っていたね」と驚き、目を細めた。

 当…

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