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北陸ダークツーリズムガイド

観光の対象はさまざまで、戦争や災害の跡を始めとする悲劇の記憶を見に行く旅人もまた多い。1990年代から、ヨーロッパを中心としてこの悲劇の記憶を巡る旅の研究が掘り下げられ、一般に「ダークツーリズム」と呼ばれるようになった。ダークツーリズムは、悲劇の記憶を教訓として後世に引き継ぐ役割を持っていることから、急速にその支持を増やしつつある。本連載では北陸3県を中心としたダークツーリズムの旅を紹介する。

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北陸ダークツーリズムガイド

粟崎遊園の正門 時代の証人と対峙 /石川

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 8月は多くの日本人にとって特別な月であり、どうしても戦争を思い出す機会が増えてくる。金沢は直接の戦火にさらされなかったため、石川県には戦争にまつわる遺構が少ないのではと思われることも多いのだが、地域を丁寧に見ていくとやはり先の大戦の影はある。

 今年は新型コロナウイルスのために残念ながら海水浴場は開いていないのだけれども、内灘は金沢市民にとって戦前から身近なレジャーの場であった。今は住宅街と化してしまったエリアには、1925年から41年にかけて、粟崎遊園と呼ばれた巨大な遊園地が立地していた。

 住民の足として今も多くの旅客を運んでいる北陸鉄道浅野川線は、元々は金沢の財界が音頭を取り、金沢駅の近くから内灘方面を結ぶ浅野川電気鉄道として敷設され、25年から供用が開始された。鉄道の創業者であった平沢嘉太郎は、鉄道事業をまさに「軌道に乗せる」ために、関西の阪急電鉄が既に展開していた遊戯施設を郊外に開発するという手法を北陸に持ち込んだ。この目論見は見事に的中し、粟崎遊園には休みになると多くの家族…

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