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匿名の刃~SNS暴力考

あおり運転の「ガラケー女」に誤認、今も続く中傷 それでも「裁判通し誰かの役に立ちたい」

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「ガラケー女」に間違えられた女性に攻撃的な言葉を投げつけてきた人から、容疑者逮捕の直後には一転、謝罪のメッセージが届いた=東京都内で、五味香織撮影
「ガラケー女」に間違えられた女性に攻撃的な言葉を投げつけてきた人から、容疑者逮捕の直後には一転、謝罪のメッセージが届いた=東京都内で、五味香織撮影

 茨城県守谷市の常磐自動車道で2019年8月に起きたあおり運転殴打事件の後、加害者の車の同乗者と間違えられ、ネット交流サービス(SNS)でひどい誹謗(ひぼう)中傷を受けた女性がいる。攻撃的な投稿をした一人で元愛知県豊田市議の男性に対し、女性が慰謝料などを求めた訴訟の判決が17日、東京地裁で言い渡される。女性が受けた誹謗中傷とは、どのようなものだったのか。【五味香織/統合デジタル取材センター】

「ガラケー女」と間違えられた

 事件は19年8月10日、常磐道であおり運転をした男(傷害罪などで公判中)が相手の車を停車させ、運転席の男性を殴ってけがをさせたものだ。その際、「ガラパゴス携帯(ガラケー)」と呼ばれる折りたたみ式の携帯電話を持つサングラス姿の女が、笑いながら暴行の様子を撮影していた。この姿を収めた動画がSNSで拡散され、テレビのニュースでも繰り返し報じられた。男の粗暴ぶりだけでなく、同乗していた「ガラケー女」にも世間の関心が集まった。

 事件から1週間後、お盆の終わりの週末だった。東京都内の30代女性は午前6時ごろ、枕元に置いたスマートフォンの着信音で目が覚めた。早朝にもかかわらず、電話とメールが鳴りやまない。寝ぼけ眼で手に取ると、知らない電話番号や番号非通知の着信が大量に表示されていた。その中にあった友人からのメッセージを見ると、「ネットに情報がさらされている」という知らせだった。

 添えられていたURLを開いて、跳び起きた。

名前、顔写真、会社のウェブサイトもさらされ……

 あるウェブサイトに自分の名前や顔写真が掲載されていた。「犯人だ」という言葉も目に飛び込んできた。女性があおり運転事件の「ガラケー女」だという指摘だった。

 全く身に覚えがない。サイトは、事件などに関する情報を集積した「まとめサイト」と呼ばれるブログで、「捕まえろ」「自首しろ」と責め立てる言葉が並んでいた。

 知らせてくれた友人からは、SNSで否定するよう勧められたものの、焦りと混乱で何を書けばいいのか分からない。女性は当時、事件…

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