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余録

6歳になって間もない輝子ちゃんの左脚は…

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 6歳になって間もない輝子ちゃんの左脚は爆弾でちぎれた。幼稚園の夏休み2日目。トカゲのしっぽみたいにまた生えてと念じたが、薬もなく傷口は腐り、治るまで9カ月かかった。大けがの1カ月後に戦争は終わっていた▲75年前の8月、もし戦争が続いていたら、米軍は同年11月に南九州、翌年春に関東平野へ史上最大の上陸作戦を決行する計画だった。鹿児島県薩摩川内市で安野(あんの)輝子さん(81)の運命を暗転させた空襲は予行演習だったのか▲戦後、義足に松葉づえの体では就職もままならず、裁縫で生計を立てた。「国と使用関係にあった」軍人・軍属への補償は現在まで総額約62兆円。民間の戦争被害者には一般の重度障害年金だけである。死者への補償はない▲「非常事態には国民全てが生命・身体・財産の犠牲を堪え忍ぶべく(略)等しく受忍しなければならなかった」(1968年最高裁判決)。「皆で忍べ」の論法だが、実は官民格差がひどい。欧米の戦争被害補償は、もっと軍民平等なのに▲閉会中の国会内に8月12日、戦後処理問題の解決を求める4団体代表が集まった。空襲被害者、沖縄戦民間被害者、韓国・朝鮮元BC級戦犯者、シベリア抑留者。いずれも救済法案が用意され、現行法改正で対応できるが、政治の動きは鈍い▲安野さんもリモートで「求める50万円の補償には象徴的な意味しかないが、なぜできないのか」と訴えた。戦後処理が残されている限り、戦後何年たとうが被害者たちの戦争に終わりは来ない。

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