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豪雨災害が鉄道を存続の危機にさらしている。7月の九州豪雨で甚大な被害を受けたJR肥薩(ひさつ)線、久大(きゅうだい)線などは復旧の見通しが立っていない。被災した各地の路線は過疎化で利用客が減っているうえ、新型コロナウイルスの影響で観光客も激減しており、存廃の議論につながる可能性もある。【石田宗久、一宮俊介】
過去最大級の被害 復旧見通し立たず
夏の日差しに照らされる濃緑の山々の谷間を縫うように流れる熊本県の球磨川上空を1日、ヘリコプターで飛んだ。緑白色の川の流れは穏やかさを取り戻していたが、川に寄り添うように走る肥薩線(熊本県八代(やつしろ)市―鹿児島県霧島市)は、あちこちで寸断されていた。
土砂に覆われたり、路盤をえぐられて宙に浮いたりしたレールもある。球磨川に架かる第一橋梁(きょうりょう)は「SL人吉」など観光列車の人気撮影スポットだが、横倒しとなった無残な姿をさらしていた。上流の渡(わたり)駅(熊本県球磨村)は駅舎全体が浸水。屋根の瓦がはがれて天井も抜け落ちていた。
明治末期の1909年に全線開通した肥薩線。霧島連山を望む「矢岳越え」のパノラマは「日本三大車窓」の一つとして知られるが、7月の豪雨では過去最大級の約450カ所が被災し、八代(八代市)―吉松(鹿児島県湧水町)間が不通となっている。久大線(福岡県久留米市―大分市)も2…
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