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匿名の刃~SNS暴力考

子供も巻き込まれるネット中傷 虐待、いじめ…背景に現実への不満?

中学生の保護者向け講演会で、ネットトラブルの危険性について話す全国ICTカウンセラー協会代表の安川雅史さん=2020年7月17日、埼玉県川越市の星野学園中で野村房代撮影

 ネット上で中傷を受けること、そして中傷に加担してしまうことは、もはや珍しくなくなった。未成年も例外ではないが、そうした被害、加害について専門的に相談できる場所は多くない。年間3000件以上、子どもにまつわるネットトラブルの相談を受けているという一般社団法人「全国ICTカウンセラー協会」(東京都中央区)代表の安川雅史さん(54)に、相談内容やトラブルの背景について聞いた。【野村房代/統合デジタル取材センター】

 ――ネットトラブルに関する相談はどのようなものですか。

 ◆子どもたちからの相談内容はさまざまですが、中傷に関するものでは、ツイッターのなりすましアカウントを使った事例が多いです。自分が気に入らない人物への嫌がらせとして、その人物の写真をアイコンに使ってなりすまし、中傷の投稿をしたり、有名人にダイレクトメッセージを送ったりするものです。そのほかは「軽い気持ちで(無料通信アプリの)『LINE(ライン)』のグループ内で悪口を書いたら、相手が不登校になってしまった」「仲間と騒ぐ様子を撮影してツイッターに投稿したら、『未成年が飲酒している』と中傷され、家族の勤め先まで特定された」といったもの。保護者からの相談も多く、「子どもがお風呂に入っている隙(すき)にスマホをのぞいたら、『死ね』という書き込みを見つけた」というケースもありました。

 ――相談を受けるようになったきっかけは何ですか。

 ◆私は元高校教師で、家庭で問題を抱える子どもたちと向き合ううちに「勉強より子どもの悩みを解決する手助けがしたい」と考えるようになりました。教師をしながらカウンセリングを学び、2006年からいじめや不登校、ひきこもりなど子どもにまつわる相談を受ける任意団体「全国webカウンセリング協議会」の理事長を務めました。ネットトラブルに関する相談は年々増え、最近ではメールやSNSを通じて寄せられる年間約7000件のうち、半数超を占めるようになりました。さらに専門的な相談体制を整えようと協議会から独立し、今年6月に全国ICTカウンセラー協会を設立しました。

 テレビ番組に出演し、SNSで中傷を受けていたプロレス選手の木村花さんが5月に急死した後は、木村さんとは関係ない件についても「訴えられたらどうしよう」などと自身の書き込みを後悔する内容が増えた印象です。

 ――相談にはどのように対処しているのですか。

 ◆未成年に関する相談は無料で受け付けていますが、場合によっては警察と連携したり、ネット事業者へ投稿の削除要請をしたりしています。ツイッターのなりすましアカウントで中傷投稿を拡散させてしまった事例では、「2ちゃんねる」などのネット掲示板管理人やプロバイダーなどを通じて拡散した一人一人に依頼して、半年…

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残り1367文字(全文2515文字)

野村房代

2002年入社。岡山支局、東京・生活報道部などを経て20年春から統合デジタル取材センター。ファッション、アート、カルチャーについて主に取材。また、障害や差別など光が当たりづらいマイノリティーの問題に関心がある。1児の母。共著に「SNS暴力 なぜ人は匿名の暴力をふるうのか」(毎日新聞出版、2020年9月発売)

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