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香港の民主派弾圧 「報道の自由」への攻撃だ

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 香港で国家安全維持法(国安法)違反を理由にした弾圧が強まっている。民主派系新聞「蘋果(りんご)日報」の創業者、黎智英(れいちえい)氏も同法違反容疑で逮捕され、編集部などが家宅捜索された。

 「報道の自由」が失われれば、「1国2制度」は完全に崩壊する。中国と香港当局は国際社会の厳しい目を自覚すべきだ。

 香港の林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は国安法の「厳格な執行」を強調し、「市民の権利は制限されない」と述べていた。しかし、民主派の中国批判を抑え込むために「乱用」されているのが実態ではないか。

 黎氏らは「外国勢力と結託して国家の安全に危害を加えた」容疑をかけられているという。だが、中国におもねらないメディアに対する攻撃としか思えない。

 香港メディアに対する中国の影響力が拡大する中、蘋果日報は民主派支援の論調を展開し、厳しい中国批判を続けてきたことで知られる。黎氏は米国にも人脈を持ち、昨年はペンス副大統領とも会見した。中国は米国に利用される「売国奴」と目の敵にしてきた。

 中国ではメディアは共産党の「喉と舌」と位置づけられ、「報道の自由」は認められていない。香港メディアにも同じ役割を求めたいのが本音かもしれないが、言論、出版の自由の保障は「1国2制度」の重要な柱だったはずだ。

 黎氏と同時に民主活動家の周庭(しゅうてい)氏も逮捕された。共に保釈されたものの、今後起訴される可能性がある。周氏は独学で習得した日本語で自由の擁護を訴えてきた。多くの日本人が共感を持って支持している。それを「外国勢力との結託」とみなすのは強引すぎる。

 中国は国際社会の批判を内政干渉と批判する。しかし、情報革命の進展で各国の国民同士が簡単に意思疎通できる時代だ。香港の人たちが目の前で自由を奪われることを看過するわけにはいかない。

 中国は「新冷戦は誰の利益にもならない」と共産党体制への批判を強める米国に反論する。しかし香港に対する中国の強圧姿勢が価値観の分断を助長していることにも気づくべきだろう。

 日本としても米中対立を激化させないように中国の変化を促していくことが重要だ。香港に対する支援の声を上げ続けたい。

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