国勢調査、同性カップルをカウントせず「親族」扱い 識者「実態把握できぬ」

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前回(2015年実施)の国勢調査で使われた調査票のサンプル。世帯員それぞれについて、「世帯主との続き柄」を回答することになっている=総務省のホームページより
前回(2015年実施)の国勢調査で使われた調査票のサンプル。世帯員それぞれについて、「世帯主との続き柄」を回答することになっている=総務省のホームページより

 今秋、5年に1度の国勢調査が実施される。国内の全世帯に関する情報を収集し、今後の政策立案につなげることが主な目的だが、事実上「除外」扱いとなりカウントされないケースがある。同性同士のカップルだ。国勢調査の記入用紙で「世帯主との続き柄」を選択する際、異性同士のカップルならば「配偶者」と記入すればそのまま集計されるが、同性同士のカップルではそれが認められず、総務省の見解では「他の親族」に分類されてしまう。当事者や識者からは「実態が正確に把握されず、国勢調査の意味をなさない」と批判の声が上がっている。なぜ同性カップルは「他の親族」扱いにされているのか。【藤沢美由紀/統合デジタル取材センター】

「おじ」「おば」と同じ?

 国勢調査は外国人も含め、日本に住むすべての人と世帯を対象に実施される。世帯員の就業形態、持ち家か賃貸住宅かといった「住居の種類」などの質問があり、国や自治体の施策に役立てることなどが目的とされる。

 回答用紙には、世帯の全メンバーについて氏名と性別のほか、「世帯主または代表者」「世帯主の配偶者」「子」などの「世帯主との続き柄」を選んで記入する欄がある。同性カップルの場合、1人が「世帯主または代表者」を選択し、もう1人は「世帯主の配偶者」を選ぶことが考えられる。このようなケースはそのまま扱えばいいようなものだが、総務省によると、集計作業では「単純な記入ミス、誤りの可能性がある」ため、他の調査項目と照らし合わせて「記入ミスではなさそうだ」と判断した場合は、「他の親族」に変更しているという。「他の親族」とは、おじやおば、いとこなどを指す。同性カップルで世帯を設けているのに、片方がおじやいとこと同じ扱いになるなんて、それこそ「誤り」ではないだろうか。

総務省「婚姻として認められていない」

 では、異性の事実婚のカップルの場合はどうだろうか。婚姻届を出しておらず、法律上の結婚ではないという点で同性カップルと共通している。回答用紙では「配偶者の有無」の欄に、「(婚姻の)届け出の有無に関係なく記入してください」と明記されている。つまり、異性カップルなら事実婚でも法律婚と同様に集計されることになる。

 なぜ…

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