「おやじさん」大統領、立ち尽くした罵声 ベラルーシ独裁26年、コロナで失墜

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支持層の国営工場労働者の話を聞くルカシェンコ大統領=ミンスクで2020年8月17日、AP
支持層の国営工場労働者の話を聞くルカシェンコ大統領=ミンスクで2020年8月17日、AP

 旧ソ連のベラルーシではルカシェンコ大統領が今月の大統領選で6選を決めたが、多くの国民が不正を疑い、退陣を求める声が止まらない。旧ソ連地域では2014年に起きたウクライナの政変後、ロシアが軍事介入する混乱も発生した。欧州とロシアの間に位置するベラルーシを巡り、関係各国の駆け引きが激しくなっている。【前谷宏、岩佐淳士(ブリュッセル)、鈴木一生(ワシントン)】

抗議抑圧、治安部隊からも批判

 「ウハジー(立ち去れ!)」

 今月17日、首都ミンスクの国営工場を視察に訪れたルカシェンコ大統領。9日の大統領選での不正を訴える労働者に対し「君たちが私を殺さない限り、次の選挙はない」と再選挙を否定したが、労働者たちから上がったのは退陣を求めるかけ声だった。罵声を直接浴びせられる異例の事態に、ルカシェンコ氏はしばらく沈黙を続けるしかなかった。26年にわたって強権政治を続けた独裁者の権威が失われているのは明らかだった。

 政敵を弾圧し、選挙のたびに不正を指摘されながらも、ルカシェンコ氏が長期政権を築けたのは、国民の間で根強い支持があったからだ。ソ連崩壊後、周辺国で経済的混乱や政変が続く中、ルカシェンコ政権は社会主義型の経済や社会保障を維持。安定を維持した指導者を多くの国民は親しみと畏敬(いけい)の念を込めて「バチカ(おやじさん)」と呼んできた。

 だが、急激な変化を嫌う統治手法の下で、特にここ数年、経済は停滞し、インターネットを通じて欧米の文化に触れる若い世代を中心に不満は高まっていった。新型コロナ…

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