長引く新型コロナウイルス禍の中で、患者が自宅にとどまって医師の治療を受ける在宅医療に注目が集まっている。外部との面会が制限される老人福祉施設や病院ではなく、「家族と一緒に最期を迎えたい」と希望する高齢患者も多いためだ。東京・新宿でクリニックを営み、日本在宅ホスピス協会役員も務める英(はなぶさ)裕雄医師(59)は、「コロナ後」も見据えた「できるだけ訪問しない」新たな在宅医療の形を提唱している。【生野由佳/統合デジタル取材センター】
――新型コロナは在宅医療にどのような影響を与えましたか。
◆まさに戦場でした。私の診療所が担当する在宅患者は約900人いて、そのうち約4~5割ががんや難病の患者です。定期訪問のほか、「寄り添いコール」といって、緊急時は24時間365日往診しています。
コロナの流行で、4月は訪問の診療を半減せざるを得ませんでした。患者と医療スタッフ双方の感染リスクを減らすためです。また、協力関係にある介護サービスの看護師に新型コロナの感染が分かり、医院のスタッフ5人が体調不良や味覚障害を訴えたこともありました。PCR検査の結果、スタッフは陰性でしたが、大幅に訪問診療体制を見直す必要性を痛感しました。
患者は重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある人が大半ですから、私たちケアサポーターが媒介して感染させないために…
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兵庫県出身。2003年入社。福島支局、阪神支局、大阪社会部、2度目の阪神支局を経て2020年4月より統合デジタル取材センター。JR福知山線脱線事故や阪神大震災を中心に取材してきました。被害者支援や障害福祉分野に関心があります。趣味は銭湯巡り。
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