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医療人類学とは、人々が自ら及び他者の心身をどのように気遣い、その不調に対しどのように対処するのか、なぜそのようにするのかをフィールドワークを通じて明らかにする学問である。医療人類学は、この作業を通じ人々が他者とともに世界で生きるとはいかなることかを問うてきた。私はその視点から日本とシンガポールで摂食障害の研究を実施し、日本の臨床現場で循環器疾患などの調査を実施した。
医療人類学者の視点からコロナ禍を眺める時に思い出されるのは、1986年、私が小5の時に起こった地元長野の「エイズ騒動」である。長野県初の感染者は、松本市でホステスとして働くフィリピン人の女性だった。現在は、人の免疫細胞に感染するウイルスであるHIVとHIVにより引き起こされるエイズは明確に区別されているが、そのような区別は当時なく、「エイズ」で地元は騒然となった。「オトナの場所で働く東南アジアの…
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