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内田麻理香・評 『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』=西田亮介・著

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『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』
『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』

 (朝日新聞出版・1650円)

混迷を整理し、分析する地図

 日本政府の新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)対策に対して、世論やメディアでは対応の遅れや不充分な経済対策が繰り返し指摘されてきた。これらの評価と、客観的な事実にはズレが存在するという。本書は、二〇二〇年六月までの会議資料や報道資料の調査を通じて、その認識と実態の乖離(かいり)を明らかにする。著者は、コロナ禍で場当たり的に見える対応を繰り返す日本政府を、「耳を傾けすぎる政府」と呼ぶ。そして、この政府が生まれた背景には、感染症そのものへの不安と、マスメディアやSNSを通じて拡大した不安の両者が相互作用する、「感染の不安/不安の感染」があると分析する。

 初動の遅れが批判されていた日本だが、国際的にみればWHOの方針に従い、厚労省や日本政府は早い段階で対処を開始していたことがわかる。首相記者会見は、事態が進行した二月二九日に、全国一斉休校の措置を発表するために初めて行われた。この「記者会見の遅れ」は、それまでの各種対応を覆い隠し、人々に「対応の遅れ」を印象づけることになった。

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