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「欲しいのはメダルじゃない」 五輪参加を目指す真意とは? 義足のジャンパーが描く理想の世界

東京パラリンピックの男子走り幅跳びで3連覇を目指すマルクス・レーム。2年前に日本で行われた国際大会では8メートル47の世界新記録(当時)をマークした=前橋市の正田醬油スタジアム群馬で2018年7月8日、久保玲撮影

 陸上男子走り幅跳びの義足クラスでパラリンピック3連覇が懸かるマルクス・レーム(32)=ドイツ=は、五輪選手と比べてもトップクラスの記録を誇る。しかし高性能の義足が有利に働いているのではという「義足の優位性」が論議を呼び、五輪への道は閉ざされたままだ。「メダルをもらえなくてもいい。健常者と一緒に競技をしたい」と切実な思いを打ち明けたレームには、ある理想があった。【岩壁峻】

 1年延期となった東京パラリンピック開幕まで8月24日で1年になるのを前に、レームに心境を聞いた。現在は新型コロナウイルスの感染防止対策を取りながら、母国で調整を続けているという。「人の少ない早朝にトレーニングジムを利用するなど、一つ一つ真剣に取り組んでいる」。感染収束のメドは立っていないが、「(東京五輪・パラリンピック)組織委員会が安全のためにベストを尽くすと信じている」と、東京大会出場への意欲を示している。

 14歳の時にウエークボードの練習中に事故に遭い、右脚の膝下を切断したレームの「相棒」は、しなりと弾力性を備えるカーボン製のスポーツ用義足だ。2018年にマークしたパラ陸上の世界記録(8メートル48)は、16年リオデジャネイロ五輪の優勝記録(8メートル38)を上回る。「パラアスリートが五輪アスリートに劣ることは何もない」という自信とは裏腹に、記録を伸ばせば伸ばすほど五輪参加への壁は分厚くなっている。

 12年ロンドン・パラリンピックで金メダルを獲得。14年のドイツ選手権では健常者を抑えて優勝したが、好記録は義足の性能による部分が大きいのではと問題視され、欧州選手権代表に選ばれなかった。

 16年リオデジャネイロ五輪出場も目指したが、国際陸上競技連盟(現世界陸連)から、義足の反発力が有利に働いていないと証明するよう求められた。検証では「義足が優位であるとは言い切れない」との見解が示されたものの、国際陸連は結論を先送りし、レームは五輪出場を断念した。

 この議論は、現在も確たる結論が出ていない。来夏に延期された東京オリンピックについて、「参加できないという状況は変わっていない」とレームは語る。当初は五輪出場を諦めていた。しかし1年延期されたことで、「開幕まで1年ある。五輪出場の可能性はあるので、(関係機関と)対話を続けたい」と再び希望を抱いている。

 決して自らの力を誇示したいわけではない。「私がパラアスリートであることは変わらない。五輪に参加することがパラリンピックのプロモーションになる」と、レームは強調した。パ…

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岩壁峻

毎日新聞東京本社運動部。1986年、神奈川県生まれ。2009年入社。宇都宮支局、東京運動部、北陸総局(石川県)を経て、2019年10月から東京運動部。現在は主にパラスポーツを担当。2016年リオデジャネイロ・パラリンピックは現地取材した。中学~高校(2年まで)はバレーボール部。身長が低かったため、中学の顧問には「スパイクは打つな」と言われて育つ。

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