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社説

シベリア抑留 遺骨収集進め実態解明を

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 第二次大戦終結直後の8月23日、旧ソ連の指導者スターリンの命令でシベリア抑留が始まった。その悲劇から75年になる。

 厚生労働省の推計によると、旧満州(現中国東北部)などにいた元日本兵ら約57万5000人が「捕虜」として連行され、収容所で強制労働させられた。

 過酷な環境の中、栄養失調や病気などで約5万5000人が亡くなったとされる。約1万5000人は身元不明のままだ。

 10年前に成立したシベリア特措法は、国に実態解明を求めている。だが、抑留の具体的な実行責任者や、何人がどこに連れていかれ、どのような経緯で亡くなったのか全容は分かっていない。抑留者の記録の開示も不十分だ。

 遺骨の収集も進んでいない。1990年代から継続的な収集が始まり、約2万2000人分が帰ってきた。だが、ロシアなどに眠ったままの遺骨は依然多い。埋葬地の荒廃も指摘される。

 2016年には戦没者遺骨収集推進法が成立した。無念の思いで亡くなった人々の遺骨を故国に帰すのは国の責務のはずだ。

 それなのに遺骨の取り違えという、あってはならないことが昨年発覚した。厚労省が再調査した結果、日本に持ち帰った遺骨460人分が外国人のものだった。

 専門家から指摘があったにもかかわらず、長年放置されてきた。収集数ありきと取られかねないずさんなやり方で、日本人遺族や現地の人に対して礼を欠く。

 再発防止策をまとめた厚労省は先月、「戦没者遺骨鑑定センター」を設置した。外部専門家も登用し、遺骨の科学的な鑑定や研究を諸外国の機関と連携して進めるという。信頼回復に努め、二度と過ちを犯さないようにしてほしい。

 死亡の経緯や正確な埋葬地を知るには資料を持つロシア側の協力が不可欠だ。外交ルートを通じて粘り強く交渉を続けるべきだ。

 今年は、国立千鳥ケ淵戦没者墓苑で恒例の追悼集会に加え、抑留死者の名前をオンラインで3日間かけて読み上げる。死者一人一人の存在を声で刻む「記念碑」だ。

 抑留体験者は年々減り、平均年齢も97歳になった。遺族も高齢化している。苦難の歴史を次世代へ継承していかなければならない。

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