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短期間で外交を深化 パニタン・ワッタナヤゴーン 首相安全諮問委員会委員長(タイ)

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 タイが民政に復帰し、7月で1年が過ぎた。この間、政府は東部3県の経済開発を進める「東部経済回廊」など暫定政権の政策を継続し、鉄道や空港など大型インフラの整備を主導した。政治の安定を維持したことは、タイに対する外国人投資家の信頼につながっている。

 外交面では、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国として任務を果たした。人々の間には、2009年4月にタイのパタヤで予定されていたASEAN首脳会議の会場にデモ隊が乱入し、会議そのものが中止となった記憶が残っていたが、払拭(ふっしょく)された。中国や日本、米国などあらゆる国との外交は民政復帰後の短期間で深化している。

 一方、新型コロナウイルスの市中感染は食い止めてはいるが、主要産業の観光への客足はまだ戻っていない。コロナ後の時代に合ったサプライチェーン(供給網)の構築も簡単ではない。失業率はかつてない水準へ悪化するだろう。投資が経済成長や多くの人の豊かさにはつながっておらず、所得格差も依然として大きい。

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