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社説

コロナの時代 変わる仕事のあり方 働き手の幸福が最優先だ

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、働き方が大きく変わった。

 出社せずに自宅などで働くテレワークが広がったのは、その一例だ。富士通やカルビーのように、オフィスワークを原則テレワークに切り替える企業も出てきた。両社は単身赴任も見直すという。

 働き手の意識にも、変化が芽生えている。

 長野県に仕事場や住まいを移すよう呼びかけるセミナーが、8月上旬に開かれた。移住相談を行うNPO法人「ふるさと回帰支援センター」が企画した。

 長野は2015年から、都市部の事業者や個人に、県内でのオフィス利用料などを助成する事業を続けている。今年は7月に募集を締め切り、約100組から応募があった。例年の倍以上という。

 セミナーでは、制度を利用して東京から事務所を移したIT企業経営者が登壇し、「おいしい水と食べ物、満天の星。ここでは人間らしい暮らしができる」と話した。顧客のほとんどは東京にいるが、商談はネットでできるという。

会社第一の発想転換を

 満員電車や長時間労働でストレスをため込む働き方を見直し、家庭や地域社会とのつながりを大事にしようと考える人たちは、確実に増えている。

 「会社第一」の発想から脱却し、働き手の幸福を最優先とする社会への転換を急ぎたい。

 日本型の雇用は、社員に終身雇用や年功賃金を保障する一方、会社の都合で恒常的な残業や単身赴任を強いてきた。家庭を犠牲にするような慣行は改めるべきだ。

 中でも問題なのは長時間労働だろう。テレワークで働く場所を変えるだけでは解決しない。

 国際労働機関(ILO)の調査では、日本の男性の3割近くは週48時間を超えて働いている。海外の先進国は10%台が多く、突出している。

 「主な働き手は男性で、長時間労働は当たり前」という固定観念から、女性が出産や子育てなどでキャリアを中断せざるを得ない状況が続いてきた。

 夕方には仕事を終え、夫婦で子育てや家事を分担すれば、女性はより働きやすくなるだろう。多様で柔軟な雇用につながる。

 そもそも、日本の働き方は効率的とはいえない。日本生産性本部によると、時間当たり労働生産性は1970年代から、経済協力開発機構(OECD)加盟国中20位前後で低迷が続いている。

 むだな残業を減らせば、たとえ勤務時間を短くしても、成果や賃金を維持できるはずだ。

 バブル崩壊後、多様な働き方の実現を名目に、雇用規制の緩和や成果主義の導入が進んだ。しかし、主な狙いは人件費の削減だった。経済の底上げや生活の質向上にはつながっていない。

 むしろ、過労死や格差、貧困などの社会問題が増幅している。

労働の尊厳取り戻そう

 コロナ禍で、雇用悪化のしわ寄せを最初に受けているのは非正規従業員だ。6月の非正規雇用は前年同月から104万人も減った。

 同一労働同一賃金の制度が4月にスタートしたばかりなのに、正社員との不合理な格差を解消する動きに急ブレーキがかかった。

 非正規従業員の能力を高める機会が少ないことが一因だ。よりよい待遇を求めて転職しようにも、選択肢が限られ、不安定な生活から抜け出せない。

 日本企業は、安定した雇用と社員教育で働き手の質と忠誠心を保ち、競争力を磨いてきたが、それらは正社員を対象にしたものだ。

 デジタル化といった産業構造の変化で、成長に必要なスキルも変わっている。経済の活力を高める上で、働き手の約4割を占める非正規従業員の能力を生かすことが欠かせない。

 公的な職業訓練の改善が急務だ。現行制度は、ものづくりの課程は充実していても、デジタル化への対応が遅れている。転職しやすい労働市場の整備や、失業時の安全網の拡充も求められる。

 介護や物流、小売りなど、テレワークがなじまない職業への手立ても必要だ。多くの働き手が、感染のリスクにさらされながら社会を支えている。

 ロボットの活用で負担を軽くするといった対策を講じなければならない。産業界全体の課題だ。

 誰もが働きやすく、安定した収入を得られる雇用を増やす時だ。コロナ禍を、労働の尊厳を取り戻す契機と位置づけたい。

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