パワハラ退任の元J1監督 見つめる現在過去未来 喪失感から学生指導で再出発

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流通経大のコーチとして再スタートを切った曺貴裁氏(左)。関東大学リーグ2部の日体大戦では、選手をグータッチしてピッチへ送り出した=茨城県龍ケ崎市で2020年8月8日午後4時3分、福田智沙撮影
流通経大のコーチとして再スタートを切った曺貴裁氏(左)。関東大学リーグ2部の日体大戦では、選手をグータッチしてピッチへ送り出した=茨城県龍ケ崎市で2020年8月8日午後4時3分、福田智沙撮影

 うだるような暑さの8月、茨城県内のサッカー場で選手とグータッチをし、笑顔で言葉を交わす男性の姿があった。大学サッカー界の強豪、流通経大の曺貴裁(チョウ・キジェ)コーチ(51)だ。昨年10月、自らのパワーハラスメントによりJ1湘南の監督を退任。自責の念や喪失感で「指導の現場に立たない方がいい」との葛藤をへて再スタートした大学の舞台で、何を見つめているのか。

 選手やスタッフへのパワハラが表面化したのは昨年8月だった。「あれから1年がたったのは信じられないです。最初の数カ月はサッカーを見られなかった。見たくなかったし、ボールの音も聞きたくありませんでした」

コーチ打診受けるも即答できず

 約8年務めた湘南の監督を退き、日本協会からはJリーグの監督を務めるのに必要な指導者資格「公認S級コーチライセンス」の1年間停止処分を受けた。どん底にいた昨年末、流通経大を20年以上指導する中野雄二監督(57)から声がかかった。あいさつを交わす程度の関係だったが東京駅近くのうなぎ店に誘われ、コーチ就任を打診された。

 必要とされることに涙がこぼれたが、首を縦に振…

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