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カフェ経営を志す神戸学院大3年の中国人留学生、陶楽さん(29)=大阪市=が、神戸市内のコーヒー専門店でインターンシップに取り組んでいる。新型コロナウイルスの影響で大学の講義や就職活動もウェブ対応が進んだ今夏。困難な状況下でも「今だからこそできることを」と、短時間に限って、距離を保ちながら対面での研修に励んでいる。【木田智佳子】
陶さんは中国・上海市出身。母国で大学卒業後、企業勤務を経て来日。大阪市内の日本語学校で学び、神戸学院大グローバル・コミュニケーション学部に進んだ。街中でおしゃれな古着の店に立ち寄るうちに「将来は古着や雑貨も扱うカフェを開きたい」と考えるようになった。
コロナ禍で同大学でも今春以降、講義はオンラインになり、3年生の企業インターンシップも従来の「職場体験」の方法は取れなくなった。陶さんら留学生が学ぶ日本語コースでは、企業に協力を求めて新しいインターンシップを導入。学生はオンライン会議システム「Zoom」や短時間の面談により企業の担当者らとやりとり。それを基に、後輩の留学生や外国人労働者らが使えるテキストをまとめることになった。大学の単位としても認定される。指導する同学部の栗原由加教授によると、企業からは「従来型のインターンシップでは参加しにくかったが、今回の方法だから協力できた」との声もあったという。
陶さんの研修先「カフェ ラヴニール」(神戸市中央区)のオーナー、橋本和也さん(40)は「神戸マイスター」で、市内の中学校でゲストティーチャーを務め、同大学の客員教員も経験した。学生には「仕事を通して社会参加することの大切さを伝えたい」と考える橋本さんは、オンラインだけでは伝わりにくいことも多いとして、感染防止に努めながら、店舗でのインターンシップを提案した。
7月から週1回約1時間の研修が始まり、陶さんは、接客中の言葉遣いや「客の感情や希望をくみ取って行動するには」と考察を進め、リポートにまとめて発表する予定だ。「知らなかった日本語の意味など発見が多かった」と話す。
陶さんはデパートの化粧品売り場で中国人観光客向けの通訳のアルバイトを続けているが、コロナ禍で観光客が来なくなり収入も激減。生活費の不足分は中国の親元からの仕送りに頼っている。先の見通しが立たず帰国した友人もいるという。「無事に卒業できたら、日本で就職し、いつかはお客さんがリラックスできるカフェを開きたい」と夢を抱いている。