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社説

幻の戦後最長景気 判断の誤り認めるべきだ

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 安倍政権下の景気拡大が戦後最長になったという政府の説明は幻に終わった。最終的な景気判断を示す内閣府の有識者会議が、2012年12月からの景気拡大は18年10月で終了していたと認定した。

 国民生活に深く関わる景気を巡り、政府が実態と異なる見解を示してきたことになる。

 消費や企業活動を示す客観的データは18年秋から悪化していた。米中貿易戦争で世界経済が落ち込み、日本にも波及した時期だ。民間エコノミストの間でも後退が始まったとの見方が大勢だった。

 にもかかわらず政府は毎月の判断を示す月例経済報告で「回復」の見解を維持し、19年1月に当時の茂木敏充経済再生担当相が戦後最長を更新したと表明した。後退をようやく認めたのは新型コロナウイルスの感染拡大で経済危機に陥った今年3月になってからだ。

 月例経済報告は景気情勢の総合的判断とされ、政府に裁量の余地がある。第2次安倍政権の発足と同時に始まった拡大が戦後最長となれば、アベノミクスの成果とアピールできる。政治的に利用したと受け取られても仕方がない。

 そもそも景気拡大と言われても賃金がほとんど伸びず、実感は乏しかった。円安と輸出に依存し海外経済に左右されやすい体質のままで、成長率も平均で年1%程度と低かった。アベノミクスの問題に向き合わず、プラス面ばかり強調した姿勢に疑問が募る。

 景気拡大期と称して、消費増税を実施した19年10月は景気が後退していたことになる。あまりにちぐはぐな政策運営だ。

 それなのに政府は景気判断を誤ったことを認めていない。理解に苦しむ対応だ。

 西村康稔経済再生相は、有識者会議が用いているデータがサービス産業の拡大を反映していないと指摘し、見直す考えを示した。

 データを経済の実情に合わせる作業は必要だ。だが政権に都合が悪くなったとたん、急に問題視するのは勝手すぎる。判断の誤りを覆い隠す狙いとしか思えない。

 コロナ危機の中、政府の対策の根拠となる景気判断は極めて重要だ。意に沿わない結果は受け入れないという姿勢なら、的確な対応も望めない。判断を間違えたことを認め、経緯を検証すべきだ。

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