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今週の気持ち

今週の気持ちは「一本のわら」

 「女・男の気持ち」(2020年8月20~26日、東京・大阪・西部3本社版計19本)から選んだ「今週の気持ち」は、東京本社版8月21日掲載の投稿です。

  ◆  ◆

<今週の気持ち>

一本のわら 東京都墨田区・藤井比砂美さん(無職・71歳)

 5日本欄「息子のSOS」を読み、胸が詰まった。

 私は長崎にいた小学6年生のとき、同級生だった父の上司の娘に言葉による嫌がらせを受けていた。ある日、大勢の前でどうしても許せない言葉を浴びせられて私は爆発し、その夜、恐ろしいことを考えた。手紙にその子の名前を書き残し、慣れ親しんだ海を沖へ沖へと進んだのだ。

 しばらくして、母が私の名前を叫びながら海に入って助けに来てくれた。母は「ごめんね」と言いながら私を砂浜に連れ戻し、しっかりと抱きしめ、その夜は同じ布団で寝てくれた。

 翌日、夜勤から帰った父は私をとがめることはなく、つらい思いをさせてごめんと謝った。そして「ぜいたくはさせてやれないけれど、子を思う気持ちは、どんなお金持ちの親にも負けないぞ。一緒に頑張ろう」と言った。その日を境に、私なりに少し成長したような気がした。

 子を守れるのは、社会でも学校でもない。親、家族だと思う。家出した投稿者の息子さんは、衝動的な行動を取りながらも心のどこかに「助けてほしい」という願望があったのだ。お父さんはそれをしっかりキャッチして、一本のわらを投げた。息子さんは、そのわらをしっかりつかみ「うん」と返信した。

 多くの言葉はいらない。お父さんは、この上なく安心できるメッセージを送られたと思う。立派です。

  ◆  ◆

<担当記者より>

 東京本社版8月5日掲載の男の気持ち「息子のSOS」は、単身赴任中のお父さんが、中学生の息子さんから「家出します」というメッセージを受け取ったときの思いをつづった投稿でした。その後、無事見つかった息子さんに対し「これからもいつでも連絡しておいで」という趣旨の熱いメッセージを送信したところ、「うん」という一言だけが返ってきた、という内容でした。

 この投稿の息子さんに、藤井さんはかつて親に助けを求めた自分を重ね合わせていました。小学生時代、友人関係に悩み、つらい思いをした藤井さん。「夜の海を沖へ沖へと歩きながらも、やっぱり助けに来てほしかったんですよね。母が来てくれてホッとしたのを覚えています」と振り返ります。投稿を読んで、連想したのが「一本のわら」だったそうです。「わらは水に浮かんで、決して沈まないんです」

 スマートフォンを介したメッセージも、立派なわらです。頼りないように見えますが、親の思いがこもったメッセージは、息子さんがこれから生きていく中でいつも心に浮かび、支えになってくれるに違いありません。エールを込めた藤井さんの投稿が、お父さんと息子さんに届いていることを祈ります。

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