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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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1960年代から18年間もソ連の指導者だったブレジネフは…

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 1960年代から18年間もソ連の指導者だったブレジネフは勲章を胸に並べるのが好きだった。その手術の時に「また心臓か?」「いえ、もう一つ勲章をつけられるよう胸を広げるのです」という笑話もある▲この話は、ブレジネフが脳梗塞(のうこうそく)や心臓発作を何度も繰り返し、手当てを受けてきたことをも示している。「晩年のブレジネフは自分が何をしているのか、ほとんど分かっていなかった」とは後のロシア大統領エリツィンの回想である▲その病状で長期政権を保てたのは、何もしないのが一党支配下の既得権者の利害に合ったからだ。病身のトップはソ連体制の行き詰まりの表れだった。指導者の病気といえば、すわ権力闘争と思うが、歴史にはこんなパターンもある▲こちらは日本の憲政での長期政権の記録を次々に塗りかえた安倍晋三首相の健康不安である。きょうの記者会見で健康問題も説明するとのことだが、その発言内容次第で今後の政治日程もがらりと変わるから政界も息をのんで見守る▲13年前には腸の難病で第1次政権を投げ出した首相である。最近「疲れ」がささやかれる中、2度の通院検査が臆測(おくそく)を呼んだのも仕方ない。しかも今はコロナ有事、政府トップの知力や決断に国民の生命や暮らしがかかっている時だ▲プライバシーの極致である健康も、政治的論議のまな板にのせられるトップ政治家の宿命である。首相一身の健勝は祈りたいが、その健康状態がコロナ禍下の政治に無用の混乱を招かぬよう賢慮を求めたい。

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