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社説

コロナの時代 持続可能な地球へ 立ち止まり変革する時だ

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、地球環境問題への取り組みが停滞を余儀なくされている。だが、環境危機は将来にわたって人類を脅かす。

 人間の活動がいかに地球を痛めつけているかを表す指標がある。「アース・オーバーシュート・デー」だ。オーバーシュートは英語で「行き過ぎ」を意味する。

 1960年代までは人間が1年間に消費する地球資源の量と、その損失を取り戻す地球の復元力が釣り合っていた。人口が増え生活水準が向上するにつれ、オーバーシュートの日付は早まっている。今年は「8月22日」だった。年末まで4カ月間、人類は地球に負荷をかけながら生きることになる。

「行き過ぎ」の重い代償

 地球温暖化は、行き過ぎた人間活動が招いた最も重い代償だ。化石燃料に由来する温室効果ガスが地球の吸収力を超えて蓄積した結果、気温が上昇した。

 最新の知見では、産業革命以降の上昇幅を1・5度に抑えることで、破局的な被害を回避できる可能性がある。だが、現状の対策のままでは、2030年には1・5度を超えてしまう。

 「1・5度」実現に先進国、途上国の区別なく努力することを定めたパリ協定は、今年が本格始動の年だった。だが、各国がさらなる努力を確認する全体会合「COP26」は、コロナ禍で延期された。機運の低下が懸念される。

 一方、中国などの新興国では、工場の操業停止や交通量の激減で大気汚染が一時的に改善した。航空機の運航が地球規模で減り、温室効果ガスの排出も抑制された。

 多くの人が環境の尊さを実感したのではないか。コロナ禍で世界が立ち止まった今を転機として、環境に配慮しながら経済を立て直す挑戦を始めたい。

 国際エネルギー機関は、脱炭素の取り組みなどエネルギー政策の転換に、毎年1兆ドル(約110兆円)ずつ3年間投じる復興計画を提案している。

 再生可能エネルギーの普及、送電網の効率化などに積極的に投資することで、毎年900万人の雇用が生まれる。実現すれば世界の経済成長率を年平均1・1ポイント押し上げるとも試算した。

 欧州では、環境分野への投資で経済復興を目指す「緑の復興」への模索が始まっている。

 「人口増加と環境汚染がこのまま進めば地球の成長は100年以内に限界に達する」

 世界の知識人や経済人で作る「ローマ・クラブ」は72年、報告書「成長の限界」でそう指摘した。だが、経済成長に突き進む当時の世界は、警告を真剣に受け止めなかった。

 その間に温暖化が進み、気候変動を招いた。熱波や干ばつ、水害が人々の命を奪い、住まいを追われた人々が難民となった。地球と人類の持続可能性が問われる事態が各地で表面化している。

 国連のグテレス事務総長は現状を「気候危機」と呼ぶ。手遅れになる前に行動する必要がある。

温暖化防ぎ経済復興を

 日本もひとごとではない。独シンクタンクが昨年末公表した「世界気候リスク指数」では、18年に気候変動の影響を最も強く受けたのは日本だった。

 政府は「循環型社会」を掲げ、古い石炭火力発電所を整理するなどの方針を打ち出した。だが国際社会からは依然、温暖化対策に消極的との批判が強い。小手先の対策ではなく、国のエネルギー政策を根本的に見直すべきだ。

 こうした努力は、国連が15年に定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」にもかなう。

 SDGsは、貧困、差別、自然破壊、温暖化など、人類の危機を克服するための17の目標からなる。国連は全ての加盟国に、30年までの達成を呼びかけている。

 財界では、SDGsを重視しない企業への投資を控える動きが出ている。個人レベルでも、熱心に取り組む企業の製品やサービスを選ぶことで後押しできる。

 アマゾンの熱帯雨林保護にかかわり、ブラジルの環境相を務めたマリナ・シルバさんは「経済の回復を最優先し、環境問題を後回しにするのは人類にとって重大なリスクだ」と警告する。

 コロナ禍で私たちは多くの犠牲を払った。一方、これまでの暮らしを考え直す時間も与えられた。各国が利害を超えて新しい世界を構築するきっかけとしたい。人類の賢明さが試されている。

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