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拉致被害者家族「また投げ出すのか」 突然の辞任表明に怒りと戸惑い

北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さんの母嘉代子さんの死去について記者団に語る安倍晋三首相=首相官邸で2020年2月6日午後2時27分、川田雅浩撮影

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 安倍晋三首相の辞任表明に、北朝鮮による拉致被害者の家族から驚きと不安の声が漏れた。

 「突然のことで、どう言ったらいいか判断がつかない」。被害者の田口八重子さん(行方不明時22歳)の兄で、拉致被害者家族会代表の飯塚繁雄さん(82)は戸惑いをあらわにした。

 安倍首相は首相就任以降、すべての被害者の帰国に全力を尽くすと強調し続けてきたが、解決のめどは立っていない。一方で家族の高齢化は進み、今年2月には有本恵子さん(同23歳)の母嘉代子さんが94歳で、6月には横田めぐみさん(同13歳)の父滋さんが87歳で亡くなった。飯塚さん自身も体調が優れない日が続く。「焦りはある。このままではどんどん時が過ぎるだけだ」と語気を強め、安倍首相には「(後継に)しっかりした人を指名し、きちんと取り組んでほしい」と求めた。

 横田めぐみさんの母早紀江さん(84)は辞任について「非常に残念。でも、お体が悪いというのは仕方がない」と気遣いつつ、「次の方が引き続いて、私たちが訴えてきたことと同じ思いでやっていただきたい」と注文した。増元るみ子さん(同24歳)の弟照明さん(64)は「安倍首相は拉致問題を重要課題に挙げていた分、失望は大きい。何もかも中途半端のまま、また投げ出すのか」と批判し、「安倍首相で結果が出なかったので、政治にはもう期待できない気がしている」と苦しい胸の内を語った。

 被害者で福井県小浜市在住の地村保志さん(65)と妻富貴恵さん(65)は連名で、「突然の辞任表明に大変、驚いております。安倍首相には拉致問題を政権の最重要課題として、全力で取り組んでいただいた。政権が変わっても、政府・国民が一丸となり、必ずや我々の世代で解決されるよう私たちも取り組んでまいります」とするコメントを発表した。

 有本恵子さんの父明弘さん(92)=神戸市長田区=は自宅のテレビで辞任表明の記者会見を見守り「びっくりした。解決するまでやってほしかったが、病気には勝てん」と話した。次の首相に対しては「解決に向けた働きを求めたい。安倍さんもトランプ大統領との関係も含めて、よくよく引き継いでほしい」と求めた。

 被害者家族を支援してきた「救う会」はホームページに西岡力会長のコメントを発表。経済制裁や米国との協調などにより「解決への最後の段階まで来ていた」と評価し、「安倍政権がつくった枠組みを生かし、必ず解決してほしい」と次期政権に期待した。

 熊本市出身の拉致被害者、松木薫さん(行方不明時26歳)の姉の斉藤文代さん(75)=熊本県菊陽町=は「病気では仕方ないが『これから先の拉致問題はどうなるんだろう』という不安はある」と心境を語った。

 松木さんは1980年に留学先のスペインで行方不明になり、安倍首相が官房副長官だった2002年の日朝首脳会談で北朝鮮側は拉致を認めたものの、「96年に死亡した」と説明。だが、提示された「遺骨」は別人と判明した。

 6月には拉致被害者の横田めぐみさんの父親で、救出運動の先頭に立ってきた滋さん(享年87)の訃報にも接しただけに、斉藤さんは「頼ってきた人がどんどん欠けていく。次の首相がどれほど拉致問題に関心があるか分からず、『また最初からやり直しか』と思うとがっかりする」と肩を落とした。【斎藤文太郎、大島秀利、春増翔太、清水晃平】

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