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的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 611 新生スーパーカミオカンデ、観測始まる

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超新星爆発 研究進展に期待

 重い星の最期を飾(かざ)る「超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)」は、それまで何も見えなかった空の一角に、突然(とつぜん)普通(ふつう)の星よりもはるかに明るい光が出現して輝(かがや)き始めるので、宇宙で最もエキサイティングな現象と言われています。

 歴史上、人間の目で確認された最近の超新星爆発は、1604年に有名な天文学者ヨハネス・ケプラーが見たもので、俗(ぞく)に「ケプラーの超新星」と呼ばれていました。そして1987年、銀河系の隣(となり)の大マゼラン星雲で、383年ぶりに超新星「SN1987A」が出現したのです。

 そのころ岐阜県の神岡鉱山(かみおかこうざん)の地下1000メートルに、太陽の放つニュートリノを捉(とら)えるために建設された「カミオカンデ」という施設(しせつ)がありました。小柴昌俊(こしばまさとし)さんたちのチームは急きょ、この施設を超新星からのニュートリノを捕捉(ほそく)する態勢に切(き)り替(か)え、そして超新星「SN1987A」が発したニュートリノを13秒間で11個捕(つか)まえることに成功したのです。小柴さんは2002年、この功績でノーベル物理学賞を受賞しました。

 ただし超新星爆発のメカニズムをさらに解明するためには、もっとたくさんのニュートリノをキャッチする必要があります。そこでもっと性能の良い「スーパーカミオカンデ」を建設し、水槽(すいそう)には5万トンの純水を蓄(たくわ)えました(写真1)。宇宙から飛来したニュートリノが水とごくまれにぶつかった時に出る光を高精度センサーで検出するのです。そしてこの装置を使って1998年、ニュートリノに質量(重さ)があることが解明され、梶田隆章(かじたたかあき)さんが2015年にノーベル物理学賞を受賞しました(写真2)。

 一つの悩(なや)みとして、ニュートリノを大量に放出する超新星爆発は、さまざまな銀河で発生するものの、他の反応と区別がつきにくいという点がありました。そこでこのたび、タンク中の純水にレアアースの一種である「ガドリニウム」を加える工夫をし、ニュートリノが来たときに区別できるようになりました(写真3)。新生スーパーカミオカンデでは、我々(われわれ)の銀河系において超新星爆発が起きた場合に、約8000ものニュートリノ事象を捉えることができ、爆発(ばくはつ)メカニズムの解明に大きく寄与(きよ)できるでしょう。

 さらに、過去の超新星爆発で宇宙に放出された「超新星背景ニュートリノ」というものの観測もできるようになります。超新星爆発の研究がいっそう進んで、宇宙でどのように元素が合成されていったかの理解が大きく前進するものと思われます。楽しみですね。


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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