連載

シリーズ・疫病と人間

新型コロナの感染拡大が世界を覆っています。危機にさらされた現代社会をどう見ればいいのでしょうか。

連載一覧

シリーズ・疫病と人間

流速を上げる市井 強権化する統治 寄稿・歴史学者 藤原辰史氏

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
ホームレスにも漏れなく特別定額給付金を支給するよう、総務省の職員に訴える当事者団体のメンバーら=東京都千代田区の総務省前で2020年8月4日午後1時47分、黒川晋史撮影
ホームレスにも漏れなく特別定額給付金を支給するよう、総務省の職員に訴える当事者団体のメンバーら=東京都千代田区の総務省前で2020年8月4日午後1時47分、黒川晋史撮影

 政治、社会、経済の脆弱(ぜいじゃく)さや非公平性をあらわにした新型コロナ禍。歴史学者の藤原辰史さん(43)がその背景を探り、そして今後を読み解く。

流速を上げる市井 強権化する統治 非公平性あらわ 経済成長優先がゆらぐ

 歴史は川と似ている。流速と流量が一定ではない。急激に流れる時代もあれば、緩やかに流れる時代もある。流れが滞っているところもあれば、スムーズに流れるところもある。川の流速と流量が場所と時間によってどう異なるかを見極めることが、歴史を知り、現在をどう見極めるかの成否に関わっている。

 では、川の水は歴史にたとえるならば何か。体内の5から7割が水で構成される市井の人びとである。これらの人びとが何千年もかけて山を削り、土砂を運び、肥沃(ひよく)な堆積(たいせき)物を生み、歴史に動きをもたらしてきた。ところが歴史の教科書には、川の流れを堰(せ)き止め、コントロールした人間ばかりが登場し、英雄視されてきた。

この記事は有料記事です。

残り4403文字(全文4813文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集