特集

今週の本棚

「面白い!読ませる!」と好評の読書欄。魅力ある評者が次々と登場し、独自に選んだ本をたっぷりの分量で紹介。

特集一覧

今週の本棚

鼎談 戦後日本と沖縄 評者・岩間陽子、我部政明、池澤夏樹

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
絵・寄藤文平
絵・寄藤文平

 ■評者 岩間陽子(政策研究大学院大教授・国際政治学)、我部政明(琉球大名誉教授・国際政治学)、池澤夏樹(作家)

 ■推薦・岩間氏

 ◆沖縄米軍基地全史 野添文彬・著(吉川弘文館・1870円)

本土の思い込み正す

 岩間 沖縄に関する実証的研究が進んでいる中で、一般の読者に読んでもらいたい本として挙げた。沖縄に関する思い込みが東京で政治・外交に携わっている人にも多くあるが、最新の研究成果を取り入れて沖縄米軍基地の通史を描いた本書は、もう一度きちんと事実はどうだったのかを確認している。例えば、米軍は戦って占領したのだから沖縄にいて当然だ、とか、戦争で上陸した海兵隊がそのままとどまっていたのだろう、といった思い込みがある。実際は、1950年代には日本本土と沖縄の米軍基地の比重は同規模だったし、海兵隊は本土に多数配備されていたのが沖縄に移されたものだ。

 日本人は戦後、沖縄の問題を見ないようにしてきた。沖縄返還も「核抜き本土並み」という成功物語として語られてきたが、本当にこの評価は妥当か。沖縄の対米感情と、90年まで占領されていた西ベルリンにおける対米感情は全く違う。ベルリンを占領していた米軍は冷戦終結時、ドイツ人から感謝されて帰って行った。なぜ、そんなに違ったのか。

この記事は有料記事です。

残り3891文字(全文4425文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集