第７５期本因坊戦七番勝負　挑戦者・芝野虎丸名人－本因坊文裕　第５局の１１

短編小説だったか　観戦記・中村智佳子

　文裕は温泉好きで知られている。対局地が温泉宿ならば夜だけでなく、朝湯にも入るらしい。挑戦者は、どのように打ち掛けの夜を過ごしていたのだろうか？

　「読書していたそうです。『小説を読み終わったら、挑戦手合も……』と言っていました」と、六浦七段。長編小説の方がよかったかもしれない。

　挑戦手合の行われる宿は心尽くしの料理で、対局者や関係者をもてなす。対局者と関係者は、２日間のほとんどが座りっぱなしの生活。そのため、３泊４日で関係者は少々太るが、対局者は痩せるという。文裕は常々「１局で２、３キロ痩せる」と話していたが、細身の挑戦者も「痩せる」とのこと。大一番で極限まで脳を使うと膨大なカロリーを消費するのだろう。